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ドルチェ-marine side 15

ドルチェ


「おはよ、未来ちゃん。今日は早いね…そちらの方は?」
「ドルチェ」扉を開けると、菊池さんはいつものあいさつをくれた。
「おはようございます。あ、母です。」
「はじめまして、私、飯塚未来の母です。今回は娘が大変お世話になりました。」
「とんでもない、こちらこそ恥ずかしながら急に嫁に逃げらて困ってたんです。おかげで助かりましたよ。」
ママの挨拶に菊池さんが照れて頭を掻きながら返した。
「それで、勝手な事を言うようですが、娘を連れて帰ります。」
「そっか…迎えに来られたんですね。いえいえ、こちらはもう。やっぱり家族は一緒にいるのが一番ですよ。」
菊池さんに頭を下げたママに、彼は首を振ってそう返した。それから言いにくそうに、
「じゃぁ、昨日のことってやっぱり…」
と聞いてきたので、私はこくりと肯いた。
「菊池さん分かってたんですか?」
私がそう聞くと、菊池さんは、
「俺だって、伊達に未来ちゃんの2倍歳とってる訳じゃないよ。」
と言った。
「そうかいね、私は無駄に歳とってると思うがね。」
すると奥の方から、きれいな女性が笑いながら出てきた。
「澄子、そりゃないだろ。」
菊池さんはその女性-澄子さんに剥れながら返した。
「ほいでなきゃ、嫁に逃げられたりせんがね。」
「お前が言うか?!」
「たぁけ、私でなきゃ誰が言うがか。」
澄子さんがばりばりの方言で捲し立てるのを、綺麗な外見とのギャップで思わず私は口を開けてみていた。そのあと彼女は私の方を向くと、
「あ、未来さんと会うのは初めでしたな。私がその逃げた嫁の菊池澄子ですわ。」
と自己紹介した。この方が奥さんなのか…方言が慣れないからびっくりしたけど、明るくてはきはきとしていて、菊池さんとはお似合いな感じがする。
「はじめまして、飯塚未来です。」
「未来の母親の夏海と申します。この度は娘が大変お世話になりまして…」
ママも澄子さんの迫力に気圧されていたのか、突然魔法が解けたかのように何度もお辞儀しながら挨拶をした。
「いやぁ、こっちとそ、どえりゃぁ世話になってまって。」
澄子さんもそう言ってはにかみながら頭を下げた。
「ホントだぞ、未来ちゃんがいてくれなかったら、俺一人じゃにっちもさっちもいかんかったぞ。」
それに対して、菊池さんが憮然とそういった。
「解っとるがね、感謝しとるで。
ま、私がここに戻ることになったで、未来さんは後のことは心配せんでな。それよりも元気な子供産んでもらわにゃな。子供産むんは、女にしかできん仕事だで。」
そう言って、澄子さんは私の手を握った。ふんわりとした手は温かかった。
「澄子さん、すいません。私が現れて本当ならもっと早くに帰れるはずだったのが、帰れなくなってたんじゃないんですか?」
わたしがそういうと、澄子さんは手を振って、
「いやいや、そんなことはないでよ。こんお方も、意地っ張りやさけ、いきなりは謝れんかったんだわ。私にとってもええ骨休めやったで、気にせんで。」
そして、謝る私にウインクしてそう答えた。それを見た菊池さんは、何か言いたげだったけど、澄子さんの顔を見て止めたみたいだった。今の澄子さんは、菊池さんが一言言おうもんなら、その何倍かになって返ってきそうだったから。
「ありがとうございます。」
お礼の言葉を言ったら、涙がまた出た。そんな私を見た澄子さんは、
「泣いたらいかんて。泣いたらお腹の子が泣き虫になってまう。女の子ならえぇけんど、男じゃそりゃいかんだろ、な。」
そう言いながら私の頭を優しくなでてくれた。
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