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伏せられたフォトスタンド(前)-chiffon side 8

伏せられフォトスタンド(前)


それから、私は時々秀一郎さんのお宅に、お義母様に料理とか細々としたものの作り方を習いに行くようになった。要するに花嫁修業。お姑さんとのご機嫌伺い以上に、私とお義母様はウマがあった。もしかしたら、実の親子だったのかもしれないと思う気持ちがどこかにあるのかもしれない。
「未来さんはそうじゃないんでしょうけど、私は本当の母親なのに母が苦手でね。」
お義母様はそう言っていた。何でも、曲がったことの大嫌いな何もかも見透かすような瞳をした方だとお義父様は言う。

でも、本当はお義父様のそんな一言を聞くまでもなく、私は秀一郎さんのお祖母様のことを知っていた。
私はあれから、ほぼ毎日もう一人の私の夢を見ていて、お義母様のお母様はもう一人の私の実のお祖母ちゃんとして会っていたからだ。夢は便利だ。思い出すだけで、私はお祖母ちゃんの顔が見れた。

そんなある日、私は風邪を引いていた。断りを入れて家にいれば良かったんだけど、その日は私が前から教わりたかった料理を作ることになっていたので、無理を押して私は結城家を訪れた。

はじめのうちは良かったんだけど、そのうちだんだん気分が悪くなってきていた。
「未来さん、大丈夫?何だか顔が赤いわ。」
それをお義母様に見咎められた。
「そうですか?ちょっと風邪気味ではありますけど。」
私は気分が悪いとも言えずに、そう答えた。
だけど、低い位置にあるものを取ろうとして腰を落として立ち上がろうとした時…
視界が回った。私は、気がつくと膝を付いて動けなくなっていた。
「未来さん?!」
お義母様が慌てて駆け寄って私の手を取った。
「未来さん、熱い。」
そして、そういうと私のおでこに手を当てた。
「まぁ、すごい熱!」
私は熱を出していたようだった。熱って、意外と出している本人は気付かないものだ。
「大丈夫です。」
「ダメよ、無理しちゃ。とにかくこの時間はお医者様まだ開いてないから、夕方になったらタクシーででも一緒に行きましょう。とにかくしばらく横にならなくちゃ。今、解熱剤を用意するわね。」
「良いです。じゃぁ、今から家に帰ります。」
横になるのなら、家に帰ってそうする方がと思って私がそう言うと、
「そんなことをして、もし途中で倒れでもしたらどうするの?私、龍太郎にも秀一郎にもうんと叱られてしまうわ。頼むから、ここで休んで行って頂戴。」
お義母様は慌てて解熱剤を引き出しの中から取り出すと、口をへの字に曲げてそう返した。

そう言われてしまうと、無碍に帰ると言い張ることもできず、私は、渋々解熱剤を飲んでお義母様のベッドに横になった。そして、私は…いつしか眠ってしまったようだった。
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