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chiffon side 2

秀一郎さんは人懐こい笑顔で私を見て、
「さぁ、どこからやりましょうか。どこが解らないか言ってもらうと良いんですが。」
と聞きながら、私の数学の教科書をぱらぱらとめくった。でも、そんな笑顔でそんな質問をされたら、ただでさえ解らないものが更に解らなくなって、もうどうでも良くなっちゃうんですけど…
「ねぇ未来さん、この問題は解りますか?」
秀一郎さんの口調はとても優しく丁寧だった。私がいつも接してる都立高校の男子なんかは足元にも及ばないような紳士!
それでも私は…その時家族の誰も、結城と言う名字に反応する事はなかった。思えばママは小さな会社だけど一応社長令嬢だったのだし、通っていたのは有名なお嬢様学校。その時のご学友の弥生さんは今、勤務医をしているけど、大病院のお嬢様。そのセレブな一族の克也さんの幼馴染なんだから、あのYUUKIと結びついてもおかしくはないのだけど、克也さんのピンチヒッターでカテキョを買って出た時点で私たちはその選択肢を外していたのだ。
別に経済的に必要のない彼がカテキョを引き受けたのは、『ダブルブッキングなんて言ってもヤヨねぇには通用しないんだよ。悪いっ、頼むよ!』と克也さんに泣きつかれただけだし、その話を秀一郎さんがお家でしたら、彼のお父様は『YUUKIだけじゃなく、いろんなことを経験するのはいいことだよ。』とあっさり許されたからだったんだけど。

「やっぱり克也みたいには教えられないなぁ、僕は。それに、未来さん全然僕のいう事頭に入ってないですよね。克也は時間的にムリだとして、もっと上手く教えられる人にお願いしたほうが良いかも知れませんね。」
秀一郎さんが困った顔をして私を覗き込んでそう言った。
「い、いえ…結城先生の説明、とっても解りやすいです。別の人だなんて言わないでください。」
その時私は勉強がどうのと言うより、これで彼と会えなくなってしまうのが嫌で、慌ててそう答えてしまっていた。
「先生は止めてください。そんなガラじゃないですよ。」
それに対して秀一郎さんはそう言ってはにかんだ。

成績が上がらなきゃ違う人に頼まれてしまうかも!先生に来てもらうためには成績上げなきゃ!
些か本末転倒って感じだったけど、私はちょっと真面目に勉強するようになった。
結果、成績が上がったんだから、動機不順だけど大目に見てよね、ママ。
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theme : 自作連載小説
genre : 小説・文学

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