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marine side 4

やばっ、泣いちゃった。早く涙を止めたいのに、そう思うと後から後から涙が流れた。
「ごめんなさい、ママに…似てたから。」
私はしゃくりあげながらようやくそれだけを加奈子さんに言った。
「ママに?」
泣いて上手くしゃべれない私は、こくりと頷いた。
「とにかく食べて、保温だけど長く置くと下のほうが硬くなっちゃうわ。」
加奈子さんは優しくそう言った。
「あっつ、でも美味しい。」
口に入れるとまた涙が出た。私、どうしたんだろう。何でこんなに泣き虫になってるんだろう。普段は妹の明日香の方が泣き虫で、お姉ちゃんはホントにクールだって言われてるくらいなのに…
「泣きたいときには、うんと泣くほうが良いんだってよ。」
陸君がそう言った。
「そして叫ぶ。例えば、『パパなんか大っ嫌いだぁ!』とかね。」
「その意見には賛成だけどな、何で台詞が『パパなんか大っ嫌いだぁ』になるんだ?」
陸君の台詞に修司さんがちょっと口を尖らせながら尋ねた。
「だって、9年前のそれが実感だったんだから。それくらい大事件だったんだよ、小学三年生にとって横浜から日進への引越しはさ。」
そうか…ここの家族の言葉に違和感を感じないのって、元々関東に住んでたからなんだ。でも、という事はつまり…
「もしかしたら、陸君って高校生なの?」
「もしかしなくても高校生だよ。高校二年生。じゃなきゃ、あんな時間に駅から出てきゃしないよ。」
「えーっつ!」
私が驚いて声を上げると、陸君は口をへの字に曲げてため息をついてこう言った。
「そんなに驚かなくて良いだろ?うー、まったく凹むよなぁ。どうせ、僕はガキっぽいですよ。」
「だって、オレとか言ってないし。」
「言ったらこの人が怒るの!」
陸君はそう言うと加奈子さんを指差した。そして、私の耳元に口を寄せると、
「だから、学校では僕なんて言ってないよ。」
と加奈子さんに聞こえないように囁いた。

そうよ、あの人だってそうなんだから…あの人も私の前ではわざと意識して「俺」って自分のことを言ってた。私だけにそう言ってくれるのが、私は嬉しかった。
「陸、何耳打ちなんかしてるの?お姉さん嫌な顔してるじゃない。」
だけど、私があの人のことを思い出して顔をくしゃっとさせてしまったから、陸君は加奈子さんに叱られた。
「いいえ、違うんです。思い出しただけ。陸君がその…知ってる人に似てるなと思って…」

私が駅で他の誰でもなく陸君に声をかけてしまった理由は-

あの人に似ているからだと思う。顔じゃなく、背丈でもない、空気そのものが。
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theme : 自作連載小説
genre : 小説・文学

comment

NoTitle

 w( ̄o ̄)w オオー!陸クン、高校生だったのかぁ。
 私は、俺って云う言い方、好きです。特に理由はないけど、あまり周りに僕って言い方している男性がいなかったせいかな。
 変なもので、意識していなくても似ている人に出会う事は一回ありました。顔も体つきも違うんですが、ちょっとしたしぐさが。元彼と別れて日も浅い時だったので、これは運命の悪戯?と思いましたが、今は辛い思い出も甘酸っぱくも懐かしい記憶です。

怪我の功名(青空でも多かったけど)

リャマさんへ

最初、中学生のつもりで書いていて、駅から降りてきた理由をどう説明つけようか悩んでいたんですが、毎度の計算ミスで17歳だと判明した後は、だから、クラブを終えてあの時間に電車で帰宅したって、自分が妙に納得。

今いる日進だってそうだけど、思いつきで名古屋市以外の愛知県の地名を当時書き込んで、「いと」でビックリ!名古屋市と隣接してました。

こんないい加減でいいんだろうか。

ただ、加奈ちゃんは乱暴な言葉遣いになりがちな息子を諌めたいためだけなんですが、無意識にあやつを追っかけてる?…んな訳ゃないか…

ちなみに僕呼ばわりの友人は、音楽関係でつるんでましたので、数人ばかりおりました。1人、「わし」なんつー親父もいたけど。(てめぇは阿笠博士か!)彼、その時22歳だったと記憶してます。
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