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強行突破…

強行突破…


それから、僕と海とはずっと付き合い続けた。僕らの事をクラスの一部の人間は夫婦だと言っていた位に。僕も海もそれを照れて大仰に否定する事も、また胸を張って肯定する事もしなかった。時がくればいずれはそうなるだろう。ぼくはまだまだ子供の癖にそんな風に思っていた。海はその時、どう思っていたんだろう。聞いてみたい気がする。

でも、あの人やおばあ様、特におばあ様は海のことを認めてはくれなかった。結城の家柄には彼女は合わないと言うのだ。ほとんどあった事も無い癖に、どうしてそんな判断が下せるのだろう。YUUKIの会社だって、彼女のお父さんのように普通に勤めてくれる社員の方が沢山いてこそのYUUKIであるはずなのに。
「大体、都立に行くなんてわたくしは反対だったんですよ。」
おばあ様は僕の学校の事まで苦々しげにそう言ったけど、海もそうだけど、健史-健史がいなかったら僕は今手にしている宝物を全て失っていたし、そもそも今の僕じゃなかったと言っても過言じゃない。健史もあの学校で出会った。

そう、彼らは何も解っちゃいないし、解ろうともしていない。
そんな彼ら立ち向かうためにも僕は「既成事実」というものが欲しかった。子供を楯に取ってでも強行突破するんだ。僕はそんな計画を立て始めていた。

僕は最初、間に合わなかったとかのいろいろな理由をこじつけて、一切の避妊を止めた。海も最初は戸惑っているようだったけど、ニュアンスは伝わっていたのかもしれない。何も言わずにいてくれた。

でも、1年を超えても僕の望んだ結果は得られなかった。
1度だけ海の月のものが遅れた。海の周期は本当に正確みたいだったから、僕はドキドキして僕の秘密の計画がばれてしまうかと内心ひやひやしていた。
でも、それが違っていたと分かった時、海もそれを心待ちにしていたのが、彼女の態度で解った。ぼくはそこであからさまに態度に出してしまうと海を傷つけてしまうような気がして、何でもないフリをしてしまった。それがどんなに罪深いことかだなんて思いもしないで。

ただ、海の方には原因はなさそうだと思った。という事は、僕の方に原因があるのだろうと…
あの病魔の事が頭を過ぎった。

だから、僕は検査に赴いた。治療が必要なら早めに治療して、彼女と早く一緒に暮らしたい。
僕が彼女の誕生日にこの安物の指輪を贈ったのは、治療のために時間がかかるかもしれないけれど、ずっと一緒にいて欲しい。そんな気持ちだった。
全く僕は、言動と心の底で思っている事が真逆の天邪鬼だったんだ。

僕がその時、しなきゃならなかったのは、そんな回りくどい演出なんかではなく、正直に病気の不安も僕の家族の反対もみんな健史じゃなく海と分け合って、彼女と2人一緒に頑張るべきだった。今なら…そう思う。
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