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慟哭-切り取られた青空26

慟哭


いきなり告げられた修司のこれまでの行動とそれに至る想いと…そして、何より私は彼の潔白に押しつぶされそうになっていた。
私はそれまで、彼を「同じ穴のムジナ」として見る事で安心している部分があった。それが崩れ去った今、私の罪が私によりのしかかってくるのを感じた。
修司が別の女と家を出たら、大手を振って亮平のところへ行ける…私は一瞬でもそう思ってしまったのだから。

「いきなり言われても…」
私は震えながらそう答えるのが精一杯だった。
「ま、いきなりじゃな。でも早いにこしたことはないんだ。会社辞めるにもある程度時間はかかるし、いい場所なら待ってはくれないだろうし。それに…」
「それに?」
「加奈子が痩せてくれたから、俺も踏み出そうと思えたんだからな。」
私が痩せることと、修司が脱サラをすることに何のつながりがあるんだろう。
「実はこれは、会社がどうのとかそんな話じゃないんだ。」
「えっ。」
「ホントはいずれそういう店を持ちたいとずっと思ってた。でも、言えなかった。店を開くとなると、加奈子の協力がなきゃ何も出来ない。でもお前、どんどんデブっていったろ。そんな時に店なんて始めたら、もっとデブになってくんじゃないか、逆に疲れて体壊す方に行くんじゃないかって、そんなこと思っちまったからな。」
「…」
「痩せ始めてからは店が原因でリバったら、一生うらまれそうだなとか…。でも、今回の加奈子は違ってた。全く別の人間生まれ変わった、そんな気がしたんだよ。今なら大丈夫だって、そう思った。」
修司は私のことに無頓着だった訳じゃないんだ。何にも言ってくれないから、どうでもいいと思われてるとばかり思ってたのに…
「じゃぁ…」
「じゃぁって何だよ」
「じゃぁなんでそれを言ってくれなかったの?!私はもう愛されてないんだと思ってたのよ!!」

そうよ、愛されていないと思っていた。もっとしっかりとつなぎとめていてくれたら、あんなことはしなかっただろうに。
すると修司は照れくさそうに頭を掻きながらこう言った。
「頑張ってるお前に、頑張ってるなんて言ったら頑張りすぎちゃうだろーが。俺の夢なんか話したら、それに近づこうと絶対に焦って、ちょっとでもできないと落ち込む。お前ってそういう奴だろ?」
口で言わないとダメなのか?修司の目はそう言っていた。

メーテルリンクの「青い鳥」。幸せの青い鳥は探さなくったって家の鳥かごにちゃんといた。私って大バカだ。

「私、行けないから!!」
反射的に私はそう叫ぶと、寝室に走りこんで鍵をかけ声を上げて泣き崩れた。

私はもう…どこにも行けない…











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