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真実-切り取られた青空25

真実


その日の夜、修司は帰ってきた。
「ただいま。」
とドアを開けて入ってきた修司は、いつも通りの笑顔だった。
「あ…おかえり…」
ものすごく言いたいことが、聞きたいことがあるのに、ありすぎて空回りしているのか、私がまず言えたのは、型通りの挨拶のようなことだけだった。
「北川さんに電話した?」
「ああ、メール入れてくれたから。ありがとな。」
本当に聞きたいことが聞けない。

「あなた…出張じゃなかったのね。それに、お義兄さんの物件って何?」
私が聞きたいことを聞けたのは、食事を終えて修司がリビングのソファーに座った後だった。
「ばれたか…」
修司はバツの悪そうな顔はしたけれど、驚きはしなかった。ばれるのも時間の問題だと開き直っていたというこうなのだろうか。
「そのことで、相談したいことがあるんだ。いや、お願いっていうのかな。」
修司はそう言って照れた。私はその照れた様子が無性に腹立たしかった。それが妻に他の女の存在を暴露する顔?そう思った。


「俺、仕事やめようと思ってる」
辞めて誰と故郷に帰ろうと言うの…
「最近うちの会社があんましよくないのを加奈子もわかってるよな。」
今のご時勢どこだってそうだけど、修司の会社もご他聞に洩れず不況の波をモロ被っている。
「んで、なんとか転職できないかと思って、先輩のツテたどっていろんなとこに声もかけてたりしたんだけど、なかなか思うところはなくってさ。」
もどかしい、早く言えばいいのに。もう一緒には暮らせないって。そしたら…
「いっそのこと自分で商売始めた方がいいかもなって思い始めて、俺元々料理が好きだしさ、そっちの方でこんど探してみたんだ。で、大阪でやっと見つけた。俺、お好み焼き屋するわ。」

確かに、大学時代からこっちに出てきて外食が多い学生の中、小まめに自炊していたみたいだし、結婚した頃は時々作ってくれたりもしたけれど、それがどうして脱サラしてお好み焼きを焼くという発想になるのだろう。てっきり女性の話が出てくると思っていたのもあって、私の頭はますます混乱し、もうショートし寸前だった。

そんな私を置き去りしたまま、修司はなおも続けた。
「大阪にお好み焼き屋を開店するための塾があるんだ。そこに行ってきた。条件が合えばきっちりサポートもしてもらえるって聞いてきた。」
修司はそう言うと、背筋を伸ばして座り直した
「でさ、こっちでやるのもいいんだけど、なんせ店舗を借りるのも高いし、何となくこの辺ってお好み焼きって感じじゃない。なら、日進の方がいいんじゃないかと思って兄貴に電話したんだ。ちょうどいい条件のがあるらしい。だから…」
「だから?」
「俺についてきて欲しいんだ。」




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