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家族になりたい-ハムケ4

家族になりたい



「俺の当初の予定では、樹里が大台に乗るまでに全部決着がついてるはずだった。でも、出来ない上に、社長にまで叱られるし…」
大和くんはものすごく辛そうに、まるで吐くみたいにそう言った。
「それに俺、ちょっと気になることがあって病院いったんだわ。で…」
その後、彼はものすごく小さな声になってぼそっと言った。
「俺のだけど…ほとんどダメらしいわ。」
「ほとんど…ダメ?」
私は大和くんの言うことが全く解からなかった。
「俺、ガキの頃病気してさ。俺が使ってた薬がその薬かどうかちゃんと覚えてないんだけど、俺の病気の治療薬の一つで使うと子供が出来なくなるってやつがあるって聞いたから…今更、お袋に当時の薬の名前聞いたら、その意味がばれるだろうし、ばれたらショックだろうからな。聞けなくて確めるために病院に行ったんだ。
そしたら俺のは、普通成人男性の半分にも満たない、約25%だって言われてさ。おそらく自然には出来ることはないだろうって言われてきた。」
「そうなんだ…」
私はそんな大和くんの半泣きの告白に、相槌を打つことしか出来なかった。

「だから…山口さん、俺と別れてください。」
で、こういう発言になった訳か…やっと事情は飲み込めたけど、だからって何で別れなきゃならないの?
「ちょっと、子供ができないくらいで何で別れなきゃならないのよ!」
そうよ私、子供がいないとイヤだって一度でも言った?!それ以前に私たち、夫婦でもないし。
「だって、樹里は子供欲しいんだろ?不妊治療する金なんて俺にはないから。」
子供が欲しいのは、大和くんの方でしょ?!まったく…
そりゃ、絶対に要らないなんて言わない。私もミニ大和くんみたいな男の子がいたらいいなぁ、そうなりゃめちゃくちゃかわいがっちゃいそうだと思う。
でも、絶対に欲しいわけじゃない。そうよ、絶対に欲しいのは…
「でも、子供なんて…大和くん以上に欲しいものじゃないもん!」
私はそれこそ初めて自分から正直に自分の思いを口にしていた。
私は今まで、大和くんが勝手にウチに転がり込んできたから、成り行きでずるずるそうなったみたいな…そんな体であまり自分が熱を上げている風には見せなかった。
でも私、どうでも良い奴となんかどんなに誘われたって寝ないよ。
それ以前に、ウチに入れてないと思うわ。

ずっと側にいて欲しかった。でも、側にいてって言ったら逆にウザがって離れて行ってしまそうで言えなかった。
「子供なんて、居ても良いけど、居なくてもいいじゃん。ねぇ、私たちもう今でも家族じゃないの?」
私はやっとずっと言いたいことが言えた。
「そう…言ってくれるのか?」
そう言った大和くんはもう本泣きしていた。
「あたりまえでしょ!じゃなきゃ、こんなウザイ男と5年半も一緒になんか居られないわよ。じゃぁ何?私だけが家族じゃ不満?!」
そう口にした私からも涙がぼろぼろと溢れ出す。
「いや…樹里が居てくれるだけで、俺は充分だよ。」
「私も、大和くんが居てくれたらそれで良い。じゃぁ、決まりだね。」
私はそう言いながら、大和くんが隠し持っていた(と本人は思っていたようだけど、ここは元々私の部屋だし、ちゃんと知ってたわよ)婚姻届の用紙が入っている引き出しを開けた。でも、用紙はもうそこには入っていなかった。その様子を見た大和くんは、部屋の隅っこのゴミ箱を指差した。見ると、特殊な紙質の用紙が丸めて捨ててあった。
「もう、まったく…明日昼休みにでももらってくるから、夜にでも一緒に書こうよ。そして、社長に持って行こう。」
「婚姻届は会社に提出する書類じゃねぇだろ。」
私がそう言うと、大和くんはニヤニヤしながらそうツッコミを入れた。
「バカね、保証人は社長とお姉さんしかいないでしょ。」
「分かってるよ、そんなことくらい。俺もそう思ってた。ホントに良いんだな、俺で。」
「うん、俺が良いの。」
私は頷いた後、大和くんの首に抱きついた。
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