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後悔-切り取られた青空23

後悔

待ち合わせ場所に、亮平は車で現れた。
「新幹線降りてからの乗り継ぎも良くないしね。それに、この方がずっと2人でいられると思ってね。」
彼はそう言うと、しばらく車を走らせて人気のない川の土手の少し下がった所に車を停めた。そして、シートを倒して腕を絡めてきた。
「いい?」
「…ここで?」
「ダメかな…」
亮平はいたずらっぽく笑って言った。私はゆっくりとかぶりを振った。

人通りはないとは言え、いつ誰が来るのかわからないという思いと、デブの頃にはこの狭い空間で重なり合うなんてことを考えもしなかったから、わたしは恥ずかしさと嬉しさの中でどんどんと昇りつめていった。まるで、私の中に何か別の生き物でもいるようだった。

でも、ふとわれに返って思い出すのは…今朝瞳の泣き顔。
私は本当に後悔していないのだろうか…そう、後悔が微塵もないと言えば嘘になる。

「なんだか浮かない顔だね。こんなとこでって、やっぱり思った?」
「ううんそんなんじゃないの、朝瞳に泣かれたことを思い出しただけよ。あんまり朝ぐずぐず言うから『ママ、出て行くから!』ってつい怒鳴っちゃって…あの子置いてかれるって事にものすごく恐怖感が強いから。」
「そう、じゃぁこどもたちも連れて僕のところに来ればいい。僕は君といられれば、一向構わないよ。」
嬉しいはずの亮平の言葉に私は何故か返事できなかった。


しばらくして、私の携帯が鳴った。
「はい、板倉です。あ…中村先生、お世話になってます。はい、瞳が?はい…ちょっと今、出先なんで1時間くらいはかかると思うんですが、迎えに参ります。はい、ありがとうございます。それでは失礼します。」
「どうしたの、瞳ちゃん…」
「熱があるって。だから今日はおかしかったんだわ。ごめんね、折角休みまでとって来てくれたのに、私帰らないと…」
「いいよ、送るよ。」
「ありがと、近所だと見られてもいけないから、一駅手前で降ろして。そこから電車で帰るから。」
「わかった。」


亮平と別れた後、私は家に戻って車で瞳を迎えに行った。保健室で寝ていたあの子はかなりぐったりとしていた。
「ありがとうございます。」
「さっき測ったら、8度9分でした。ちょっと胸を開いてみたんですが、水疱瘡のようですね。」
「熱があるっていうんで車で迎えに来ましたから、帰りに病院に寄って帰ります。」
私はそう言って養護の先生に会釈した後、瞳に謝った。
「ごめんね、朝から辛かったんでしょ。」
「ううん、学校に来てからだよ。」
私は自分のことにかまけて瞳の不調のサインを見逃していたんだ。そう思うと、今まで分かっていながら目を背けていた後悔の念が一気に噴出してくるのを感じた。








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