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パラレルワールド-Parallel 55

パラレルワールド

 重い気持ちのまま、家路を急ぐ。かばんの中には遠い昔の不確かな約束の証。志穂は、
「これは倉本さんが持たなければならない物ですわ、お返しいたします。今日はそのためにわざわざお越しいただいたんですもの」
と言って、戸惑う夏海にそれを渡したのだ。実際、志穂がそれを持っていたところで、夫の心がずっと自分のところになかったことを思い知らされるだけだろうし、だからと言って夫の最期を一緒に過ごしたそれを無碍に捨てることもできないに違いない。
 それにしてもこんなに愛し合っていたのに掴めなかった……お互いの手。隣り合わせて歩いていたはずなのに、届かない。まるで自分だけが違う次元に飛ばされてしまったようだ。パラレルワールドに迷い込んでしまったとでもいうのだろうか。だから、この世界のどこにも自分の帰る場所はないと感じてしまうのかもしれない。
 ……だけどね龍太郎、女の私には、あなたのように何もかもうっちゃって「あの頃」に戻ることもできないわ。

 家に戻った夏海はいつものように家事をこなして夜、雅彦が先に寝てしまったことを見計らって、填めていた結婚指輪を薬指から外し、代わりに想い出の指輪を填めて床についた。
 マーさん、今日だけ……今日だけは私をあの頃に行かせて頂戴。夏海は気持ち良さそうに上下する、夫の背中を見つめながらそう呟いた。
   
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comment

NoTitle

こんにちは~♪
一気にここまで読みました!龍太郎君との経緯を考えると、あの時こうしていれば彼と幸せになれたんじゃないだろうかと考えがちですけど、結局遠回りしようが近道をしようが結果は同じだったんだろうなと思いました。
彼は見かけ以上に繊細だったんですね。
おくらばせながら?ストーリー完結お疲れ様でした!

ありがとうございます。

泉 怜奈さんへ

すいません、暗く長い作品にお付き合いくださいましてありがとうございます。

まさに、そうなんです。龍太郎と夏海の選ぶ選択肢によって無数のパラレルワールドが生じる。その中の1つという意味で「パラレル」と名づけたのですが、どう転んでもハッピーエンドにはこの2人なれそうにありません。

この後、どうしても龍太郎の言い訳が書きたくなり、あの指輪の残留思念という形で特別編「指輪の記憶」を書き始めてしまいました。
龍太郎は見かけ以上に繊細というより、はっきり言ってへタレです。
出来の悪い子ほどかわいいですけどね。

もしよろしければ、引き続き龍太郎のへタレぶりをごらんいただければ幸いです。

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字数制限にひっかかったの

シークコメさんへ

てな訳で(どういう訳だ?!)生き生きと動いてるんじゃないでしょうか。

最後に、生きてます、たぶん…(笑)
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