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髪-Parallel 17



 お見合いに際して、母は夏海にフェミニンなワンピースを買い与えた。そうでもしないとこの娘はデニムにトレーナー姿で見合いに行くとでも思っているのか――さすがに私でも、そこまでのことはしないわよと、彼女は明らかに自分より数段はしゃいでいる母の後ろ姿にそうつぶやいた。
 母の見立ては夏海の普段の服装からは相当甘すぎたが、見合い当日だけは母の人形になると決めた。それで仲をとってくれた人に顔が立つのなら。そして、会ってすぐ断れば良い。そう思った夏海は珍しく母の選んだ服に袖を通した。いつもなら、彼女の見立てた服など絶対に着ないのだが。
 そして当日、夏海は朝一から美容室に行った。横髪を少し結って後ろでこの日のワンピースに合わせたかわいい感じのヘアアクセで留めると、残りの腰少し上まで伸びた髪は少しロール状に流れ落ちる。
「夏海ちゃん、ホント得よねぇ。天然の縦ロール。まるでお姫様みたいよ」
行きつけの美容師がそう言いながらセットをしてくれた。

 それにしても、私が髪を伸ばし始めたのはどうして……ああ、それは龍太郎が私が少し伸ばした時に、
「海は長い髪の方が似合うよ。伸ばせば?」
と言ったからだわ。美容師の賛辞を聞きながら、夏海はそんな事を思い出した。
 セミロングだった夏海はそれから伸ばし始め、今の長さになってからは、前髪とけ先だけを手入れするようにしてそれを保っている。この長さが気に入っている訳でもないのに、別れて久しい今も相変わらず切れずにいた。あの発言も、ロングヘアが似合うと言うより、ただそれが龍太郎の好みだったと言うだけだろうに。
 
 そして、その美容師からメイクも念入りに施されると、夏海は母と共に見合いの会場、あるホテルのラウンジに向かった。
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