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武田の家-Parallel 14

武田の家


7月-夏海は27歳の誕生日を迎えた。武田は一番近い週末に東京に帰ってきた。そして、2人は一緒に誕生日を祝った。
その日のデートの後、武田は夏海を彼の実家に連れて行った。彼の実家は下町にある小さな洋品店だ。最初は夫婦でやっていたが、大きな店と張り合える時代ではなくなり、父親は今はサラリーマンをしている。

玄関で武田の姉に迎えられた。彼より5歳年上の姉は、夏海に向かって開口一番、
「よくこんなのと付き合うようになったわね。」
と言った。
「それ、どーいう意味だよ。」
「私ならこんな面倒臭いし、何より爺むさい音楽聴いてる男なんてやだわ。」
「ねーちゃんに好かれたかないよ。彼女はそんな俺が好みなの。」
彼は口をへの字にまげて姉の言葉にそう返した。
「それはそれは、ご愁傷様。」
そして、彼女は夏海に向かってそう言った。そのやり取りをみて、夏海は吹き出すのをこらえるのに必死だった。まさにその爺むさい音楽が2人の馴れ初めなのだから。お姉さんは私が彼に合わせてそういう音楽を聴いてるのだと思ってるのかしら、まぁ普通はそういうことも多いのだろうけれど…と夏海は思った。
「ま、ゆっくりしていってよ。何もないけど。」
そう言って、武田の姉は夏海にスリッパをすすめた。

リビングで夏海は武田の両親と会った。武田の父はしきりと夏海と話したがり、武田の母に、
「お父さんが話しかけたら迷惑よ。」
とたしなめられていた。そして、帰りがけには手土産まで持たせてくれた。
夏海の方が4歳年上だということは既に話してあると聞いている。それでもすんなりと受け入れてくれている様子なのが、夏海にはとても嬉しかった。
龍太郎とは8年付き合っても、家族に会う機会はついぞなかったなと思った時、夏海は龍太郎が自分を突き放してくれたことを少し感謝したい気持ちが湧いてきたのだった。

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