スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

満月(フルムーン)に焦がれて19

見舞いに訪れた弘毅は、洋介と2人で乃笑留をガラス越しに見ていた。
「おっ、やっぱり女の子は泣き方まで違う。かわいいよなぁ~、次は女がいいなぁ…あ、ゴメン。」
弘毅は軽々しく次の子供のことを口に出してしまった事を反省した。
「いちいち気にするな。ウチはこの子1人で充分だよ。俺は2度とあんな思いはゴメンだ。」
それに対して、洋介は手を振りながらそう答えた。
「にしても、小百合ちゃんホントに頑張ったよな。」
「ああ、俺には到底真似できない。一度、小百合の食べているものをつまみ食いしたことがあるんだ。ほんとに味があるようないような…よくこんなものを食べてるっていう味だった。でも、それをあいつは実に旨そうに食べてたんだ。」
「へぇ。」
「で、そんなもん旨いか?って聞いてみたんだよ。そしたら、『これが赤ちゃんを育てるのよ。そう思ったらものすごく美味しいわ。』って平然と答えたんだ。」
「男には理解できねぇなそういうのって。」
「そうだろ。」

それから、洋介は弘毅に頭を下げてこう言った。
「桜木、今度のこと、本当にありがとう。」
「何で。お礼なんて言われるようなこと俺、何にもしてねぇぜ。」
何も役に立ってないだろ…弘毅はそう思った。
「いや、お前に愚痴や不安を言うことで俺はずいぶんと救われたよ。押しつぶされずにここまでこれた。」
「ははは、なんだか照れるな、そういうのって。お礼ってんだったら、いっそのこと乃笑留を周人の嫁にくれるか?乃笑留は間違いなく美人になりそうだし…」
弘毅にそう言われた洋介は笑いながら、
「断るよ。圭子さんに似ればともかく、お前のDNAを色濃く受け継いでたら、乃笑留は間違いなく苦労するからな。」
と言った。
「おまえなぁ…昔はともかく、今は圭子一筋なんだぜ、俺。」
「それは、圭子さんの操縦が上手いって事だろうが。」
弘毅の言葉に洋介はニヤニヤ笑って返した。
「どうせ俺は尻に敷かれてるって言いたいんだろ。けどさ、お前だって結局小百合ちゃんの言いなりじゃねぇか。」
「ま、そうだな。」
「女には勝てねぇんだよ。」
女には勝てない-勝てない方が幸せだってことなんだろうと、弘毅は思った。勝てなかったからこそ、こんなことで笑い合える。だったらそれでいいじゃないかと。
スポンサーサイト

theme : 自作連載小説
genre : 小説・文学

comment

Secret

プロフィール

こうやまたすく

Author:こうやまたすく
FC2ブログへようこそ!

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

FC2カウンター

カテゴリ

Web page translation

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。