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満月-満月(フルムーン)に焦がれて18

満月


徹底した食事管理、可能な限りの休息、胎児に影響が少ない治療が功を奏して、小百合は週数を重ねていった。薄氷を踏む思いで2人はそのときを過ごした。


小百合は30週のときの検診で、切迫早産の兆候が現れたため、その場で即入院、絶対安静を言い渡された。

それで連絡を受けた洋介は入院のための荷物を持って飛んできた。

洋介はその荷物を手際よくロッカーに入れながら言った。
「小百合、お前に1つだけ絶対に守って欲しいことがある。」
「何なの?いきなり。」
すると洋介は真顔でこう言ったのだった。
「俺より先に死ぬなよ。」
「何それ。」
まじめな顔で何を言い出すかと思ったら…小百合は吹き出してしまった。
「1日でいいから。俺より先に死ぬなよ。もし、先に死んだら俺は承知しない。」
洋介はあくまでも真剣だった。小百合は笑い続けた。
「何か昔にそんな歌なかったかしら?でも、死んだら叱られても私わからないわよ。あなたを残して死のうなんてこれっぽっちも思ってないけどね。」
小百合は大笑いしていたが、その目にはいつしか涙があふれていた。。
「約束してくれ。」
「…ええ、約束するわ。」

35週目に入った時、小百合の血圧は急激に上がり始めた。そのため即刻、帝王切開で彼女は女の子を産んだ。

2120gの小さな命は無事産声を上げ…小百合も出産後の後遺症はなかった。

クリスマスを間近に控えたその時期に生まれた待望の娘を、洋介はフランス語のクリスマスを意味する乃笑留(ノエル)と名づけた。そして、家族の笑顔がいつまでもあるようにと悩みぬいてその字を当てた。

「お前は私たちの救世主だよ。」
洋介は保育器で眠る娘にガラス越しにそっとささやいた。






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