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満月(フルムーン)に焦がれて17

小百合は約1ヶ月間入院し、一旦自宅に戻ってきた。
戻ってからの彼女の一番の悩みは洋介の食事の用意だった。彼女は入院と同時に減塩食になっていた。だから、彼女は洋介のための食事を味見をすることができないのだ。彼女は味見だと割り切ってそれを口にできるようなのんきな性格ではない。

それで、彼女はかなり悩んだ末、洋介の母親にだけはこの事を打ち明けた。本当なら自分の母に相談すべきなのだろうが、自分の母親より洋介好みをよく知っているし、洋介もそのほうが後々気を遣うことが少ないだろうと思われたからだ。それに、自分の母に話したらもしかしたら自分以上に母は苦しむのではないだろうかとも思ったからだ。自分が過去2回の流産のときに、誰が何を言おうが自分を責めてしまわないといられなかった様に…

「よく、決心してくれたわね。」
「食べるのは毎日のことなので、黙ってはいられないって思いました。私が作れないからって、洋介さんに外食ばかりさせたら、今度は洋介さんが体を壊してしまうと思ったら、お義母さんにお願いするしかなくて…私のわがままですいません。」
「わがままじゃないわよ。任せてちょうだい。でも、洋介もほんとに幸せ者ね。」
遠慮がちに言う小百合に義母は笑顔で承諾した。
「幸せ者ですか?」
「だって、そこまでして自分の子供を産もうとしてくれる奥さんなんてそうそういないわよ。」
義母の言葉に小百合は首を傾げながら言った。
「そうでしょうか。洋介さんにはやっぱり止めとけば良かった、心臓に良くないって毎日言われてますけど。」
それを聞いて義母はふきだしながら言った。
「あの子はあなたを失うのが怖いのよ。昔っから気が弱いんだから。もう戻れないんだから、どーんと構えてないとあなたも不安よね。」
「いえ…私が言い出したことですから…」
「じゃぁ、何としてでも親子3人でくらさなきゃね。」
「はい。」
何としてでも親子3人で暮らしたい。小百合は改めてそう思った。

それで、洋介の母はしばらく彼らと同居することとなった。洋介の食事のための選択であったが、結果的に義母の協力を得ることで小百合の負担はさらに軽減されることとなったのだ。

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theme : 自作連載小説
genre : 小説・文学

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