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温度差-満月(フルムーン)に焦がれて13

温度差


そして、小百合が洋介に離婚届を突きつけたのは、弘毅と圭子の一件があったおよそ4ヶ月後の事だった。
「何故、2人じゃ駄目なんだ。」
「私は子供が欲しいの。」
「なら、養子縁組でもするか?それは前にお前が嫌だと言ったんだろ。」
養子縁組をするとなれば、他人はともかくお互いの両親には小百合の病気のことを知らせねばならない。彼女はそれを理由に、洋介が切り出した養子縁組の話を受け入れようとはしなかった。
「私は自分で産みたいの。」
「バカな事、言わないでくれ!」
洋介は小百合を叩くことができず、側にあった机を叩いた。バンッと大きな音が響く。
「バカな事なんかじゃないわ。私、つい最近ラジオで同じ病気の人が子供を産んだって葉書を読まれているのを聞いたわ。一旦薬を抜いてしまって、それから…いろんな生活制限はあるけど…それでもちゃんと産んだって…」
「それはたまたまその人が上手く行っただけだろ!」
そうだ、誰もが同じ結果になるとは限らない。洋介はそう思った。
「それはそうかもしれないけど、可能性があるならかけたいの。」
小百合は洋介を振りほどいて、彼の目を見てこう言った。
「ねぇ、お願い…1年、ううん半年でいいわ。それでできなければあきらめるから。結婚してから3年以上経つと妊娠確率も減るとか聞くし、これが最後のチャンスだと思うの。だから、お願い!」
「駄目だ!」
洋介は小百合の目を見ていられなくなり、目線を外して答えた。
「聞いてくれないんだったら、私家を出るわ。そうよ、離婚しなくても出れば良いのよ。」
「どうしてそこまでする必要がある!」
「お願い、もう一度だけ…チャンスをちょうだい…」
そのとき、リビングの時計が、午前2時を知らせるオルゴールを奏でた。
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