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離婚届-満月(フルムーン)に焦がれて1

離婚届


結婚3年目のある日のことだった。
「あなた…これ。」
そう言って夫洋介に妻小百合が差し出したもの…それは離婚届だった。しかも、彼女の欄には既に書き込みがされてある。
「これは一体…小百合、何の冗談のつもりだ。」
「冗談なんかじゃなくて私は本気よ。」
洋介には彼女が本気で離婚届を自分に渡そうと思う理由に全く心当たりはなかった。

第一、夫婦仲は悪くない。友人たちからはむしろバカップルと呼ばれていた。
浮気なんてしたことがないのでばれようがない。
(と言うことは小百合の方が…まさか…こいつに限ってそれは…)
「何で本気で別れなきゃならない理由があるんだ!」
小百合はうつむいたまま、何も答えなかった。
「男が…できたのか?」
理由を答えない小百合に洋介がそう聞くと、それまでうつむいていた小百合は顔を上げて夫を涙目でにらんだ。
「そうね、その方がよかった?そんな訳ないじゃない!私にそんなことができないことはあなたが一番よく解かってるはずでしょ!」
「なら、何なんだ。」
まったく理由に心当たりのない彼はしだいにイライラし始めていた。
「聞けばあなたはきっと後悔するわ。」
「でも、聞かなきゃ分からないじゃないか。」
「私…あなたともうセックスしたくないの。」
彼女はやっと離婚の理由を口にした。
「何?!」
案の定、その理由に彼は一瞬言葉を失った。
「惨めになるのよ…」
彼女はそう言うと彼から目線を外した。
「惨めって何なんだ!!」
夫婦の営みに惨めにならなきゃならない要素がどこにあるって言うんだ、洋介は思わずそう怒鳴りそうになったが、小百合の思いつめた形相でかろうじてそれを口には出さなかった。
「私はもう女じゃないんだなって思い知らされるのよ。」
「お前は生まれたときから間違いなく女だろう?!」
俺は、男を妻に選んだつもりはないぞと洋介は思った。
「ええ、性別上はね。」
小百合の顔は、カーテンを開けっ放しにした窓から差し込む月の光でいつもより余計青白く光っていた。


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