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高広の許へ…-遠い旋律18

高広の許へ…


信じてもらえないとは思うけど、私は高広の病室まで飛んだ。たくさんの機械類の中で喘ぐ高広と高広のお母さんの涙と…見たくはなかったけど、見なければ絶対に後悔したはずの光景を私は見た。

-わりぃ…やっぱり呼んじまって-
頭の中に高広の声がする。
-ううん、約束守ってくれてありがとう-
-ちょっとの間しか一緒にいられなくてゴメンな-
-そんなことないよ、私いっぱい幸せだったよ-
-それを聞いて、ちょっと安心した…-

突然、病室の高広の呼吸が急に静かになった私の言葉に安心してくれたから?
「高広?!…高広?!」
高広のお母さんが急に落ち着いた彼を逆に心配そうに覗き込む。そこに久美子ちゃんが携帯を握りしめて走りこんで来た。
「お兄ちゃん!…三輪さんを連れてかないで!!」
彼女は高広にすがり付いてそう叫んだ。
「久美子?」
「お兄ちゃん…連れて行きたくないから別れたんでしょ!お願い…三輪さん、そこにいるならお兄ちゃんを連れて戻ってきて…」
「久美子…何わからないことを言ってるの!」
高広のお母さんは、久美子ちゃんの言葉が理解できないでいる様だった。
「今、お兄ちゃんに言われたとおりにこのケータイで三輪さんに電話したら…電話に出たと同時にお兄ちゃんの名前呼んで…倒れたって三輪さんのお友達が!お母さん…お兄ちゃんが三輪さんを連れてっちゃう!」
久美子ちゃんは高広のケータイを震えながらお母さんに見せて説明した。
「まさか!そんなこと…ある訳ない…そんなまさか…」
ケータイと高広の急に落ち着いた寝顔を見ながら、高広のお母さんはどんどんと青ざめていき、うわごとのようになんどもその台詞を繰り返した。
「お願い…2人で戻ってきて…」
久美子ちゃんが高広の手をギュッと握りしめながらそう言った。久美子ちゃん、電話くれてありがとう。おかげで高広の所まで飛んでこれたよ。私もできたら高広を連れてそっちに戻れたらって思うよ…でも、もしそれができないのなら、-私も一緒にいきたいんだ。


しばらくして、高広の呼吸がまた荒くなった。

-じゃぁ、オレもう行くわ…-
-私も連れてって!-
言わなくても解かってるよね。高広が戻れないなら私がいくよ。
-そんなことできるかよ。オレ、みんなに恨まれるじゃん-
-じゃぁ、私に恨まれるのは良いの?-
-お前は、わかってくれるだろ-
-解からないわよ、ヤダ!一緒にいく!-
-ダメだって…ホントありがとな…-
高広のハスキーで温かい声が私を包んだ。ダメだと言いながらあいつは嬉しそうだった。

そしてその後、私は一瞬だけど高広に抱きしめられた感じがした。その感じははじけるように消えて…
「高広!!」
「お兄ちゃん!!」
それと同時にお母さんと久美子ちゃんの絶叫が聞こえた。そして、それを最後に…私は目の前が暗くなった。

気がついたときは、私は自分の勤める病院のベッドの上にいた。

高広…逝っちゃったんだね、1人で…
悲しいけど、なぜか涙は出なかった。悲しすぎたのかもしれない。





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