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さくらに会いに…-遠い旋律14

さくらに会いに…


私はベッドに横たわった高広の手を握り…いつの間にか眠ってしまっていた。
私は不思議なことにそのまま今いるここの夢を見ていた。それが夢だとわかるのは、私は、眠っている私を別の場所で見ている恰好になっていたから。

「ここは…病院…」
「お兄ちゃん、気がついた?」
久美子ちゃんが涙目で高広を覗き込んだ。
「あれ?何てさでくらがここに…」
高広はベッドの横で眠っている私を見て、まだ意識がはっきりしてなかったのか、ぼんやりとした口調でそう言った。
「この病院の近くの桜の下で倒れていたから、救急車で三輪さんの病院に運ばれたのよ。」
「ああ…あの木に会いに来たんだった、オレ…」
高広は、思い出したようにそう言った。
「木に?」
「ここな、こいつが生まれた病院でもあるんだ。こいつが生まれた日、その年にはやけに桜の咲くのが早くて満開だったんだってさ。だから、こいつのお父さんがあの木を見てさくらって付けたって…」
高広はそう言いながら、握ってないほうの手で私の髪を撫でた。
「だからオレ…ホントはその桜の下でプロポーズするつもりだった…今はまだ学生だけど、オレが社会に出て自分で生活できるようになるまで待ってくれって。」
そう言った高広は何故か笑顔だった。その笑顔を見て、久美子ちゃんは逆に泣き顔になった。
「…お兄ちゃん…」
「ムリになっちまったから、代わりにどうか、さくらを守ってやってくださいってお願いしてきた。そしたら目の前がすーっと白くなって…」
高広はため息をついた。
「ああ…マズったな…こいつにもバレたんだろうな。」
「三輪さん、うすうす分かってたみたいだよ。」
「そうだな…こいつムリに連絡取ろうとしてなかったもんな…」
高広は眠ったままの私の髪をまた撫でた。それはまるで、赤ん坊を寝かしつけるような感じだった。

「あきらめて、これからは三輪さんと一緒にいれば?」
それから久美子ちゃんがそう言ったら、高広はやっぱり頭を振った。
「ダメだ、こいつとはもう別れたんだから。」
「お兄ちゃん、何言ってるの?!ホントは一緒にに居たいんでしょ!三輪さんも同じ気持ちなんでしょ!!」
久美子ちゃんが思わずそう怒鳴ると、高広は口に手を当ててこう言った。
「しっ、さくらが起きちまう…オレはこれからどんどん弱っていく。そんなオレをこいつには見せたくないんだ。それにこいつとはホントに繋がってる気がするから…」
高広は配膳台の上に乗っているケータイに目線を送って、
「そばにいたら連れてっちまいそうで…」
と、言った。
「そんなことある訳ないじゃない、確かに三輪さんを見たときビックリするくらい痩せてたけど、それはダイエットなんでしょ。考えすぎよ。」
久美子ちゃんは、当惑した表情でそう答えた。
「そうだな…オレ、何かおかしいこと言ってるかもな…ちょっと疲れた…オレ寝るわ…」
そう言うと、高広はすーっと眠りに入って…

そこで、私のビジョンも途切れた。
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