スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

世界の喪失-再び桜花笑う季1

世界の喪失


私は焼けつく痛みの中で目覚めた。
(ここはどこだろう)
そう思って辺りを見回そうとするが、私は頭をピクリとも動かすことができなかった。ぼんやりとした視界の中に、何本かのプラ製の管が映り、バイタルチェックがピッ、ピッと規則的な音を奏でている。
(ここは病院なのだな)私はそう思った。

やがて、おぼろげだった意識がはっきりしてくると、私が意識を失う直前の温かな記憶と、忌まわしい記憶とが次々と蘇ってきた。
その記憶に私が体を小刻みに震わせると、私が意識を取り戻したことを私の母が気がついたようだった。
「芳治!良かった…」
と母は泣きながら私の名を呼んだ。
「おふくろ…翔子は?穂波は?…」
それに対して、そう聞いた私の声はかなり力をつかって振り絞り出したにもかかわらず、小さくかすれていた。
「ああ…翔子ちゃんと穂波ちゃん…あのね、今はここにはいないの。」
母ははっとして私を見た後、歯切れ悪くそう答えた。
実際問題、妻の翔子と娘の穂波はここにはいなかった。だがこの場に居ないだけではなく、二人はもうこの世のどこにもいはしなかった。たった一瞬の出来事が、私から愛する家族を…私の全てを奪い去っていったのだった。

その日は、霧雨が降る寒い日だった。

私たち夫婦は結婚記念日を祝うため、1歳10か月になる穂波を連れて予約してあったレストランへと出かけた。長年ホテルの厨房を任されていたオーナーシェフが、奥さんと二人で始めた小さな店。穂波は車の形をしたお皿に並べられた彼女のための料理を、
「ブーブ、ブーブ」
とにこにこ笑って、ペタペタ叩いた。それを肴に私はワインを飲んだ。
「ああ、誰にもやりたくないよ。」
そんな私のつぶやきを聞いて、翔子は笑い転げた。

楽しいひと時を過ごして、帰途についた私たち、アルコールの入ってしまった私に代わって、帰りは翔子がハンドルを握っていた。
そして、あと10分も走れば家に到着する場所だった。少し離れた所からパトカーのサイレンが聞こえたすぐ後、いきなり強い衝撃が私たちを襲った。私たちの車が交差点に入る直前、右側から違反を逃れようとする一台の車が速度を落とさずに左折し、曲がり切れずに私たちの車に激突したのだった。
スポンサーサイト

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

tag : *

再び桜花笑う季2

追突された側の、翔子と穂波、そして追突した相手側の男はほぼ即死だった。そして、助手席にいた私だけが、辛うじて命の灯をつないでいるという状態だった。
しかし、それも風前の灯、全身を強く打ち、私の骨は、手、足、肩、ろっ骨と両手に余る数が折れていた。特に右足は粉砕骨折。それでも私は2度の大手術を経て奇跡的に命を取り留めたのだ。

ようやく、その事実を知ることになり、私が一人取り残されたという現実に打ちひしがれて涙を流しても、その時は自分で涙を拭うこともできない…そんな肉塊になり果てていた。

何故だ、何故私だけが死ねなかった!相手の男の違反逃れの暴走より、そんな男が愛する妻と娘と共に遠い地へと連れ去ってしまったことが腹立たしく、やるせなかった。

「会社に、そろそろ辞表出さないといけないんだろうけど…こういう場合、口頭で良いんだろうか。」
私は見舞いに来た同僚にそう言った。
私の仕事は営業職、足で稼いでなんぼの世界だ。医師には右足の粉砕骨折の完治は難しい、杖に頼らなければ長時間の歩行は無理だと診断された。もう復帰しても、以前の部署には就けない。件の事故は私から仕事も奪ってしまったのだ。

私は、ゼロ以下…マイナスからの新たな人生に期待など持てるわけもなく、しかし、私の気持ちを置き去りにしたまま周囲の努力のおかげで身体は順調に回復していき、その日、退院を迎えた。

私が退院後計画を練っていたのはただ一つだけ…私の障害のために改造された車の乗り方をマスターしたら、それに乗って誰も知らないところに行って自分の人生を終わらせる。それだけだった。

そんな私の目にいきなり飛び込んできたもの…それが私の病棟の看護師、三輪さくらの涙、
「気、気にしないでくださいね。松野さん…」
と何度も言いながら泣きじゃくる姿だった。

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

再び桜花笑う季3

私は何故この三輪さくらという女性が泣いているのか、見当もつかなかった。私は何か彼女に失礼なことをしたんだろうか…つらつらとそんなことを考えてみるも、思い当たる節は全くと言ってなかった。

皮肉にも、その狐につままれたようなエピソードのおかげで、かろうじて私は絶望に突き進むような気持ちで父の運転する車に乗り込まずに済んだ。

「本当にお前、あの家に戻るのか…」
「ああ、俺の家はあそこだよ。それにさ、いつまでも親父たちに頼ってばっかもいらんないだろ。」
どうせ、この障害は全部消えてはなくならないのだから。今はともかく、父や母の方が先に年を取る。自活していないとずっと脛をかじることになるんだと、親たちには言い含めたが、私の本心はそこにはなかった。私が、自らたった一つ心に決めたことを実行するには、親と同居していては動きづらい。ただ、それだけだったのだ。

私の自宅マンションは既に車いすでも動けるように段差を全て取っ払い、フローリングを貼ってあった。それはそれまでの私の世界の全てを失った代償でされたものであることに、私はやるせなさを隠せなかった。こうやって自活のための方策を練っているパフォーマンスをするためだけに、翔子や穂波を失った代償を遣ってしまった自分が自分で腹立たしい。
でも、それもあと少しだ。来週には改造車の教習を受けられる。一刻も早く他の人を巻き込まないだけの技術を身につけたい。自分が舐めた辛酸を、他人に遭わせたりなんぞしたら、それこそ家族の許には向かえないと…

私は呆れるくらい直向きに、本末転倒なゼロに向かっての闘志を燃やしていたのだった。

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

三輪さくら-再び桜花笑う季4

三輪さくら


運転自体は、元々毎日仕事にも使っていた私にはさしたる難しい物ではなかった。ところが、とんだ伏兵がいた。運転自体よりも車に乗るまでと降りることに多大な努力が必要だということが判ったのだ。

私の退院後すぐの状態では、車椅子はまだ必須だった。一人で行動するには、助手席に乗せてある車椅子を車外に放り出し、広げ、乗り移る。これを一人でやりこなさなければならない。全て腕力勝負だ。残念ながら長期間入院生活を続け、それでなくとも腕だけで生活をした経験などない私にはむしろそちらの方が大変で、とにかくリハビリで単独行動できるまでに持っていかねばならないと心に決めたのだった。

そして、退院から2週間後程のリハビリの後のことだった。わざわざ家に戻ってから買いに行くのも面倒なので、食べ物をみつくろって帰ろうと地下の売店に行くため、エレベータホールに向かった。すると若い女性の声がした。
「さくら、さくら!!」
その若い女性の涙声の呼びかけにふと見ると、一人の女性がストレッチャーに乗せられて階上に運ばれていくところだった。(さくら…そう言えば、この前退院の時に泣いていた三輪さんという看護師がそんな名前だった。)と思って私は遠目からそのストレッチャーの主をみて驚いた。件の三輪さくらその人だったからである。

やがて程なくエレベータが到着し、ストレッチャーは5階へと昇っていった。華奢で色白な彼女は、苦しむでもなく静かに横たわっていた。けがをした様子はなかったので、事故などではなさそうだ。それに、5階と言えば…内科か。

そう言えば、彼女がここまで痩せたのはつい3カ月ほど前からだったか…去年の年末辺りから一気にスリムになっていった彼女のことを、
「恋人でもできたんだろう。違うか?」
年配の同室者がずいぶんと執拗にそう聞いていた。それに対して、彼女は否定も肯定もしなかったと記憶している。

もしかしたら、そんな浮いた話などは何もなく、ただ単に病を得てどんどんとやせ細っていっていたのかもしれないなと私は思った。何れにせよ、私には関係のない話だ。そう思って一旦は地下に降り、弁当を買って膝に置いて、私はエレベーターホールに戻ったが、どうにも気になる。そう言えば退院の時の涙の理由も聞いていなかった。そして、本人が倒れているならことの真相が聞けるはずもないのに、私はなぜか1階のボタンを押さず、5階のボタンを押してしまったのだ。

5階で降りた私は、さっそく三輪さくらという名前を見つけた。その前には付き添っていた涙声の女性はおらず、あわただしく医師やら看護師が出入りしていた。それに、
「意識レベル300です。」
「呼吸が浅すぎるので、加圧します。」
「血圧上76、下確認できません。」
と病室から漏れ聞こえる声は、彼女が今、のっぴきならない状況に置かれていることを私に教えた。
君はいこうとしているのか-うらやましい。それならば、代わってほしいよ…懸命に治療にあたっている人々の気配を感じながら、私は不謹慎にもそんなことを考えていた。

その時、その病室から一人出てきた男性がいた。キャメルのジャケットにボーダーのスプリングニットにデニム。医師ではない様だった。
彼は、今出てきた部屋を名残惜しそうに見つめると、私の方に顔を向けて深々とお辞儀をした。
「い、いや私はただ通りかかっただけで…」
それに対して、私はしどろもどろにそう返すと、彼は気にしていないという風に手を振り、何とも穏やかに笑んで、もう一度軽く会釈をし、その場を立ち去った。
私は、この状況とその笑みとのギャップに戸惑い、しばらく固まったままでいた。

「すいません、あなたさくらの知り合い?」
しばらくしてから、私は先ほど彼女に付き添っていた女性が戻って来てそう質問された。
「ああ、知り合いというか、退院しましたが、三輪さんがいらっしゃる病棟に入院していたんです。でも、もう失礼します。」
私は慌ててそう答えて、その場を立ち去った。









theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

親近感-再び桜花笑う季5

親近感


私は、三輪さくらのその後の様子が気になり、その次のリハビリの帰りに私もかつてお世話になっていた、彼女の職場である病棟を訪ねた。
「お久しぶりです。」
私は彼女の同僚の曽我部由美に声をかけた。私服を着て出て来たので、勤務明けだろうと思ったからだ。
「松野さん、こんにちは。リハビリ頑張ってる?」
「ええ、まぁ…」
私はそう言うと、車椅子に乗ったままの自分の姿をざっと眺めた。
「ま、根気よく頑張って。で、今日は何?」
「三輪さん元気になったかなと思って…前回の通院の時、ちらっとストレッチャーに乗ってるとこ見てしまったもんですから。」
私がそう言うと、それまでにこにこしていた由美の顔が曇った。実際、私は彼女がICUに運ばれたことも、かなり危ない状態であったことも知っていたのだが、通りすがりに垣間見た体を装った。
「え、ええ…」
「そうですか、それは良かった。彼女、私の退院の時大泣きしてたでしょ?だから、気になってたんですよ。」
(助かったのだな、良かった。)私はそれを聞いてホッとした。私はあの時、向こう岸に行こうとしている彼女をうらやましいと思ったことが、内心後ろめたくもあったのだ。安心している風な私の返事を聞いて、由美は続けた。
「そっか三輪、松野さんの退院の時、ぼろ泣きしたもんね…松野さん、ちょっと時間良い?三輪のこと聞きたいんでしょ。」
「別にどうしてもってことではないですけど、、暇ならたくさんありますから。」
私は由美の誘いにそう答えて、1階の総合受付の待合に陣取った。

「でもこんなこと、言っても良いのかな。三輪ね、一応意識は取り戻したんだけどね、まだ予断は許せない状態なの。」
そこで、由美はため息を交えながら三輪さくらの近況を伝えた。
「彼女そんなに悪いんですか。」
「うん…1回、心肺も停止したしね。何よりもう、体中ガタガタで衰弱しきってる。」
「いったい何が原因なんですか?」
一体何がどうすれば、あの20代前半だと思しき彼女がそんな状態になるのかと私は思った。
「ダイエット…」
それに対する由美の答えは意外だった。
「ダイエット?」
そして、その原因がダイエットだと聞いて、私の顔はゆがんだかもしれない。確かに彼女はこの3~4カ月でみるみる内にスリムになったが、それがために命を失うのだとしたら、それこそ本末転倒じゃないか。
「もちろん、それだけじゃないのよ。でも、それがベースになってる。」
すると、私の表情を見てとって由美はそう付け加えた。

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

再び桜花笑う季6

「三輪にさ、去年恋人ができたのよ。というか、ずっと友達だった子が恋人に昇格したって方が正しいかな。そいでね、彼のためにダイエット始めたの。でもあの娘って、根が真面目でしょ?だから、やりだすと一直線。あっという間に痩せちゃったのよね。」
続く由美の話に、私は頷いた。あの時否定しなかったのは、やはり実際にそういう状態であったからなのだなと思った。
「でもね、スリムになった三輪を、その彼、振っちゃったのよ。突然別れようって言われたらしい。」
「は?」
私は思わず素っ頓狂な声をだしてしまった。そいつのためにダイエットしたのに、痩せた途端振ったのかその男は…所謂「デブ専」ってやつなのか?だとしたら、かわいそうな娘だ。ダイエットなんかしたおかげで、振られるとは本人も思ってもいなかっただろう。泣いていたのは、そいつに振られたばかりだったからなのだろう。私は鼻で笑った。しかし、由美の次の言葉に私は息をのんだ。
「だけど、ホントは彼…末期がんだったの。看護師の三輪に自分の死を間近で見せるのは酷だって、自分から離れたの。あの娘がそれを知ったのは、彼が倒れてここに救急で搬送されて来たから。」
「…」
「彼、三輪に『もう二度と会わない。』って言って、翌日には元の病院に戻っちゃって。そのすぐ後だったのよ、松野さんの退院。たぶん、松野さんに彼を重ねてたんだと思う。」
私の前で泣いたのはそういう事情だったのかと思って、私は由美の言葉に頷いた。
「でね、三輪が倒れたのは…その日に彼が亡くなったのよ。いっぺんに張りつめたものが切れちゃって心も体もいっぺんに崩れたんだと思うの。ダイエットで体力が落ちてたから尚更。」
それに、彼と共に逝きたいという気持ちも生じていただろうし。私は心の中で由美にそう返した。私のように状況が自分で解からないまま命をつながれたのとは違って、はっきりと彼の地に行こうとしている恋人の姿が見えているのなら尚更それを熱望し、生は彼女の体から離れていこうとしたのだろう。それでも彼女は命長らえた。命をつなごうという周囲の努力に負けたのだ。

同じだ…と思った。私は三輪さくらという女性に親近感を感じた。

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

違和感-再び桜花笑う季7

違和感


しばらくして、三輪さくらは整形外科の外来の看護師として職場復帰し、リハビリの介助として私の前に現れた。
「松野さん、お久しぶり。」
と私に挨拶した彼女は、私の前で号泣したことなどすっかり忘れてしまったように笑顔だった。しかし、その左手薬指にはただの輪っかの中に一つ小さなダイヤが埋め込んである指輪が光っていた。(そうか、恋人と言っていたからまだ結婚はしてなかったのだろうが、婚約中ではあったのだな。)私はそう思ったが、特にそれを指摘することはなかった。そうだ、私には何も関係のない話だ。

だが、それから2度ほど後のリハビリの時、私はあのかつての同室者と一緒になった。彼は、彼女を見るなりその左手薬指を見咎め、
「三輪ちゃん、しばらく見ないと思って心配してたらリハビリに移動したんだぁ。おっ、それ…結婚したの?長期休暇は新婚旅行か…いいねぇ、若いもんは。おめでとう。」
と的外れな祝福の言葉を述べた。それに対して彼女は、否定もせず笑顔で、
「ありがとうございます。」
と述べたので驚いた。
「旦那さんってどんな人?」
尚も質問を続ける彼に
「え~っと、建築デザイナーなんですけど…」
と、彼女はまだ返答している。しかも、その顔は照れたような笑顔だ。私が曽我部由美に聞いた話は全くの嘘っぱちだったのか?私は自分を支えることに集中できなくなり、歩行バーでつんのめった。
「松野さん、危ない!」
それを見つけた彼女は、そう叫んで慌てて私の所に駆け寄った。
「あ、大丈夫です。ありがとう。」
そして、ごく至近距離で彼女の顔を見た時、私は彼女のその笑顔の下にはっきりと涙があるのがわかった。
「何故、そんな無理をする。そんなに患者へのリップサービスが必要なのか、ここは。」
私は思わず彼女に小声でそう言ってしまっていた。
「松野さん、何で…」
彼女は私の言葉に固まった。
「曽我部さんに事情は聞いた。退院の時あんな風に号泣されたのが気になってね。もしかしたら、俺のファンなのかと思ってさ。」
「あ…そがっち言っちゃったんですか?もうあいつ、おしゃべりなんだから…でも、助かりました。あの人、長くなりそうだから。」
すると、彼女はそう返した。
「三輪ちゃん、何をこそこそ松野君と話してんのさ、そんなことしてっと旦那さんにしかられっぞ~。」
だが、そこで、先ほどの元同室者からそんな茶々が入った。
「大丈夫です。彼、そんな心の狭い男じゃないですもん!」
それに、相変わらずおどけた調子で彼女はそう返した。そして彼女はまた声のトーンを落とすと、
「心配してくださってありがとう。でも、私高広とはホントに結婚したつもりでいるから…これで良いんです。」
と私に告げて、私の側を離れた。




theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

口論-再び桜花笑う季8

口論


今思えば、何も考えずにとりあえず車に乗り込み、どこかの崖まで突っ走ればそれで目的は達成されたはずだ。
だが、意気地のない私は、思ったように自分の体が動かないのを理由に、決行をその日延ばしにしてきた。

それから何度めのリハビリの時だったろうか、三輪さくらはリハビリ室にはいなかった。また、体調が思わしくなくなったんだろうか。

そんなことを思いながら帰りがけ、いつものように夕食の弁当を調達しようと地下の売店に下りると、そこに彼女はいて、なにやら雑誌の会計をしているところだった。
「三輪さん、今日は非番?」
「ああ、松野さん…今日は通院です。」
彼女はそう言いながら、私に弁当を次々指さし、どれが良いかと目で聞いて、私が頷いたものを持ってレジカウンターに置いた。
「ありがとう。」
私はそう言って、自分の会計を済ませ、膝の上に弁当を乗せた。すると、彼女は当然のように私の車椅子を押して歩き始めた。
「あ、三輪さん、良いですよ。非番の日まで患者の面倒なんか見なくても…それに、体調悪いんでしょ?」
慌てて私はそう言った。
「体調の方はもうすっかり。今日行ってきたのは、婦人科なんです。」
すると彼女はそう言った。私は婦人科と聞いてごくりと唾を飲み込んだ。
「おめでたですか。」
そして私がそう聞くと、彼女は一瞬口ごもった後、
「いいえ…」
と言った。見上げると何とも複雑な表情をしていた。
「すいません、失礼なことを言ってしまったみたいですね。」
「そんなことないです。私、以前にあんなこと言ったし、そう思うのは当然ですよね。」
私が謝ると、彼女はそう返した。
「私、この半年ですごく痩せたでしょ?」
「ええ、曽我部さんにダイエットされたって聞きました。」
「私ね、32kg痩せたんです。」
「そりゃ、すごい!頑張られたんですね。」
私は32kgと言う数字を聞いて驚いた。以前は確かに明らかに太りすぎていたが、そんなに減量していたのか。32kgと言えば、小学生一人分に相当する重さだ。
「ええ、頑張りすぎたんです。だから、生理がなくなっちゃった。」
「…」
「ごめんなさい!男の方に言う事じゃなかったですね。」
思わず言葉を失った私に、彼女は慌てて謝った。
「いえ、大丈夫ですよ。これでもかつては子持ちですからね。こんな話題でどぎまぎするような若造じゃないですよ。」
「あ…そう、そうですか、なら良かった。このまま放っておくと一生子供は産めないって言われて、通ってるんです。」
しかし、私は彼女のこの台詞に激しく反発を覚えた。この前もそうだったが、生死の境を彷徨うようなくらいに思っていた男が死んでまだどれほども経っていないと言うのに、あの笑顔やこの言い草は何だと思った。
「三輪さんは、彼のことをさっさといい思い出にして、新しい男を見つける訳ですか!看護師の三輪さんのダメージを少しでも減らそうと、別れまで切り出したそうなのに。悲劇だな。」
そこで、私は皮肉たっぷりにそう言った。
「あなたに何が解かるんですか!!」
すると、彼女は私の車椅子をどんと前に突いてそう叫んだ。

theme : 物書きのひとりごと
genre : 小説・文学

再び桜花笑う季9

「あなたに何が解かるんです!!」
そう叫んだ三輪さくらの目は涙に濡れていた。
「私だって一緒に逝きたかった。高広が死んだ後、私自身も危なかったんだよって、助かって良かったねって、いろんな人に言われる度、助けてなんか要らなかったのにって思った。」
それを聞いて私はやはりと思った。
「解かるさ、俺だって一緒だ。何で助けたって怒鳴りたいくらいだから。だから、君の今のチャラチャラした態度が気に食わない。俺は一年余り経った今でも、翔子や穂波の所に行こうと思っているのに、君は平気で次の相手との子供のことを考えられる。しかも、彼が死んでから半年も経っていないじゃないか。」
「平気だなんて…平気な訳ないじゃない!」
私の言葉に彼女はそう叫んだ。
「俺にはそうしか見えないんだが。」
「だって、高広は『人の傷は癒えるから、心の傷だって絶対に癒えるから。』って…オレの分まで生きろって…その言葉がなかったら、私だって…」
そう言うと彼女は私に背を向けて泣いた。そして再び真っ赤な目を私に向けて睨むと、
「松野さんは奥さんやお子さんのところに行きたいんでしょ。じゃぁ、高広と代わって!高広はもっと生きたかったのよ。もう一度生きられるなら、彼はきっと一生歩けなくなったって、ううん、寝たきりだって喜んで生きてくわ。そんなこと言うんだったら、今すぐ高広と代わってよ!!」
そう言い放って、正面玄関まで一気に走って行った。
「三輪さん、待ってくれ!!」
しまった、彼女を本当に傷つけてしまった。彼女は私のようにある日突然翔子や穂波を失ったのとは違うのだ。それこそ、カウントダウンをするがごとくに刻一刻と迫る愛する者の最期と戦かってきた。それはそれでものすごい悲しみであったはずなのに…私は何でこんな不用意な事を言ってしまったんだろう。私は彼女を追って力いっぱい車椅子を動かした。

私は彼女を追いかけるのに夢中になって、正面玄関の自動ドアを越えると、少しの踊り場の後に階段になっていることをすっかり失念していた。そのことを思い出した時には既に私の体は自動ドアを越えていて、勢いをつけて漕いでいた車椅子は急には止まれず、私の体は階段から宙へと放り出された。
「松野さん!」
ガシャンという音に振り向いた彼女は、慌てて私の許に駆け寄ってきた。
「済まない…あんなひどいことを言ってしまうなんてどうかしてた。」
謝る私に、彼女は黙って頭を振ると、車椅子を立て直し、そこに私を乗せた。

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

再び桜花笑う季10

「ホントに済まない。」
車椅子に座ったまま私はもう一度三輪さくらに頭を下げた。
「いいえ、私も言いすぎました。」
彼女も私に頭を下げ、そう言った。
「じゃぁ、帰ります。あ、弁当!」
その時私は、膝の上に弁当を置いていたことを思い出した。見ると件の弁当は道の端に無残にもさかさまになって転がっていた。私はその弁当を取ろうと車椅子を漕ごうとしたのだが…
「痛っ!」
夢中で気付かなかったが、私は車椅子から落下したとき、手をどこかについていたのだろう。左手に力を入れると、少しだが痛みが走った。
「大丈夫ですか?何なら戻って検査を…」
「大丈夫、少し痛むだけだから。」
「本当に?」
「ええ、こんなのあの事故に比べたら、大したことないから。気にしないで。」
確かに、力を入れるまで気づかないくらいの痛みだったから、大したことはないだろう。私はそう思った。
「松野さん、今日は運転されてるんですか。」
すると彼女はこう尋ねた。
「いいえ、ここには乗ってこないですよ。ものすごい早い予約でないと、障害者スペースは空いてないですからね。ここに来るのはいつもタクシーです。」
「じゃぁ、ここで待っててください。私の車を回します。」
「そんな、いいですよ。」
「だって、タクシーで帰るにしても、降りた後があるでしょ?私のせいでけがさせちゃったし、送らせてください。」
彼女はそう言うと、私の返事も聞かずにパタパタと自分の車を取りに走って行った。彼女を無視してタクシーの方に行くこともできたが、私はそのままそこで彼女を待った。
戻ってきた彼女の車の後部座席は、既に倒されてフラットになっていた。彼女は手早く私を助手席に乗せると、車椅子を積み込んで走り出した。

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

再び桜花笑う季11

「ホントにすみません。」
私は車に乗り込んでから、三輪さくらに都合何度目かの詫びのことばを言った。
「本当に、もういいですよ。私こそ、失礼なこと言っちゃいました。松野さんはいきなりご家族を亡くされたんですもんね。それに比べたら、覚悟をする時間があった私は幸せだと思わなきゃ。」
すると、彼女はこう答えた。
「あなたは前向きなんですね。私とは大違いだ。」
「いいえ、私は今も高広と一緒に居たい、ただそれだけですよ。」
そして、彼女はそう言った後、小さくため息をついてこう切り出した。
「ねぇ、松野さん…変なお願いをしていいですか?」
「何です?」
「あなたに高広の話をさせてくれませんか。」
彼女は彼のことを全く知らない私に、何故彼の話をしたいと思うのだろう。不思議なことを言うなと私は思った。
「彼の話ですか。それはどうして?」
「他の人には聞かせられないから…私が高広の話をすると、母も友人もすごく心配するんです。特に母は私がいつか彼を追いかけるのではないかって今でも思ってます。だから。」
私はその言葉を聞いて内心ギクッとした。私の場合は、本当に妻や子供の許に行こうとしているのを悟られまいとして、逆に平静を装ってしまうのだが。彼女は彼から『生きろ』と遺言されたことを守ろうとしている-そう私に言ったばかりだった。
「みんな判で押したように忘れなさいとか、違うことを考えたらとか言うんですよね。でも、私は忘れたくないし、新しいことをしようとも思わない。あなたなら、その気持を解かってくれるような気がして…ねぇ、そうだ、松野さんも奥さんやおじょうさんのお話を私に聞かせてもらえません?私に思い出のおすそ分けしてもらえませんか。」
確かに、そうだ。私が未だに妻や子供の話をすることに、周りは過剰反応する。先に逝った者は、遺された者の思い出の中でしか生きられないと言うのに。私は彼女の言葉にこくりと頷いて言った。
「じゃぁ、そうですね。三輪さんと…その…」
「高広、坪内高広です。」
「その坪内高広さんとの出会いから聞かせてもらえますか。」
「はい!」
彼女は本当に嬉しそうに笑顔で返事をした。そして、私に彼女が愛した男-坪内高広の話を始めた。

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

変化-再び桜花笑う季12

変化


三輪さくらと坪内高広…二人は同じ高校の出身で、同窓会で知り合ったという。年齢は彼女の方が2つ上。もしかしたら、在学中にも見かけているのかもしれないが、お互い知らなかったという。
「50周年の記念式典で、ピアノの音に二人とも酔っっちゃったんですよ。」
何でも、彼女には絶対音感があり、微妙にずれた状態で奏でられた当日のピアノ演奏に吐き気を催して会場である体育館から出てきたところ、頭を押さえて蹲っていたのが、彼だったそうだ。彼が出てきたのも彼女と全く同じ理由。しかも、彼女を心配して友人がメールを送信してきたので分ったのだが、彼らは着信音まで同じだった。携帯購入時のプリインストールならよくある話かもしれないが、彼らの着信音は『有名な曲だけど、誰もそこだけをチョイスはしないマニアックな部分(本人談)』だから自作したものだったという。
「私たちはあの着信音でつながっているのよ。」
彼女はそう言った。

それから、彼女はその後の彼との日々や彼の人となりを実に楽しそうに話した。それはあたかもまだ彼が生きてるかのような口調だったし、彼が生きていた時よりかなり美化されているだろうことは容易に想像できた。でもそれは、彼女の彼に対する愛だと私は思った。
まだうら若い彼女がそうして思い出の中に生きているのは、周りから見ると悲しく危険なことに映るのかもしれないが、私には彼女のそうしたい気持ちが痛いほどわかった。何を見るのも何を感じるのも、彼との日々がベースになっているのだから。それは私も同じだった。

そして、彼女は週に1~2度私のマンションを訪れるようになり、お互いのパートナーの事を語り合った。
傷の舐め合いと言えばそれまでかもしれなかったが、私たちは…少なくとも私は、彼女に傷を舐めてもらうことで少しずつ妻や子の許に行くんだと息巻いていた気持ちが薄れていったのは事実だ。

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

再び桜花笑う季13

「松野さんはパソコン、解りますか。」
ある日唐突に、私は三輪さくらにそう聞かれた。
「ある程度なら、解かるけど。」
元々パソコンは嫌いではなく、勤め人時代にはプレゼンの資料やら、ノルマの達成率やらの資料はよく作った。
「自分で打ち込んだ曲を入れようと思ったんだけど、できなくて…」
彼女はそう言って真新しい携帯を私に見せた。

彼女は亡くなった恋人に出会ったときに持っていた携帯をずっと使用していたのだが、さすがに年数を経て電池交換をしてもすぐにバッテリー切れを起こすようになったらしい。このままでは、いついきなりデータがとんでしまうとも限らない。それには、彼とのやり取りが克明に記録されている、彼女にとってはそれはまさに大切な宝物と言っても過言ではないのだ。件の携帯は彼女の自宅でずっとホルダに入れられたまま保存されることとなった。

そして、彼女は新しく携帯を買ったのだが、ここで少々問題が生じた。最近の携帯はダウンロードが主流となり、携帯そのものでは曲の打ち込みができないということがわかったのだ。もちろん、外部でSDに録音してそれを携帯に入れるという手もあるにはある。しかし、それでは曲の冒頭から再生されてしまう。彼女が入れたいのは曲の中盤以降だったからだ。
「自分で打ち込むにはシーケンサーが要るよ。ダウンロードすれば何とかなるかな。」
私はそう言いながらすぐにネット検索し、頃合いのシーケンサーソフトをダウンロードした。
「ところで楽譜は、あるの?」
入力をしようと彼女にそう聞くと、彼女はいきなりその曲を口ずさみながらその曲をコード進行まで含めてさらさらと書き始めた。私は呆気にとられてそれを見ていた。
「この曲は耳にもう染みついてるから、それを思い出すだけで音は採れるの。」
彼女はさも当たり前のようにそう言った。
「だって、音階がそのまま頭に浮かんじゃうから。」
全く知らない曲でも、流しながら書くことができるらしい。
「音は流れていくから、書くスピードが付いていかなくて、何度も止めながらだけど。」
私には計り知れないが、それが絶対音感ということなのだろう。
同時に彼女が恋人と特殊な絆を感じる感覚が少し解かった気がした。他人からは奇異としか見られない事を当たり前としてとらえてくれる存在、そう言うことなのだろう。
「あ、そうそう…ここは3連譜じゃなかったんだ。高広、いきなり指摘したんだよね…」
彼女の眼は彼と出会った日を垣間見て潤んだ。

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

再び桜花笑う季14

音楽面を彼女に聞きながら、何とか私は曲を入力した。
私は本来はピアノ曲であるその曲を、主旋律にバイオリンを加えてバイオリンコンチェルトのようにして、彼女のSDに転送した。パソコンではそういったことが簡単にできる。
「なんだが、前のより高広が一緒にいてくれるみたい…」
出来上がった着メロを聞いたとき、彼女はそう言って涙を流した。本来は存在しない弦を主旋律に据えたことに、耳の良い彼女は違和感を感じるかと思ったが、結果喜んでくれたのを見て私はホッとした。
「何かちゃんとお礼しなくっちゃ。話を聞いてもらってるだけでもありがたいのに。」
「そんなことないよ、俺だってさくらちゃんにどれだけ世話になってるか。ちょうどお礼ができてよかった。」
恐縮する彼女に、私はそう言って笑った。その頃には私は、彼女のことを三輪さんからさくらちゃんと呼ぶようになっていた。

そして、その時にはそれ以上何もなかったのだが、このことはやがて後に違った形で波及する。
彼女の大親友、野江恵実が結婚することになり、彼女が結婚の祝いの品の希望を聞いた時、恵実は一旦は何もないと言ったのだが、それでも彼女が重ねて聞くと、
「お店のホームページ」
と答えたという。恵実の夫になる佐藤隆一は老舗和菓子屋の4代目で、ホームページを立ち上げてネットでの販売を考えているらしい。だが、肝心のページを作る暇がないという。その顛末と、彼女のため息交じりの一言、
「私がお祝いに作ってあげられれば良いけど、この間の携帯だって、松野さんがいないと全然解かんなかったしなぁ。」
というのを聞き、
「良かったら俺、やってみようか。」
安請け合いしたのがことの発端だった。
「松野さん、お願いできますか!」
彼女は私の言葉を聞いて小躍りした。彼女はどうやらあの一件で、何やら私をパソコンのエキスパートだと誤解してしまっているようだった。確かに女性の彼女よりはコンピュータ用語にも明るいが、エキスパートと呼ばれるような技量はない。
それでも私は、彼女にそんな誤解をされているのを嬉しく思っていた。もう何もかも無くしたと思った私が誰かの役に確実に立っている。それを思い出させてくれた彼女に何かお礼をしたい。そんな気持ちからだった。

それで、悪戦苦闘しながらのホームページ作りが始まった。当の隆一に恵実も交えて何度もどういうものに仕上げようかと話し合い、良い物を目指した。その時には私のわずかながらの営業でのノウハウも役に立った。

出来上がったホームページを隆一はもちろん、隆一の両親も気に入ってくれた。そして、その両親の知人からの依頼まで彼らは持ってきてくれたのだった。両親たちの世代はパソコンには疎く、ホームページ立ち上げを考えたとしても、頼むにもどこに頼んで良いのかすら解からないというパターンで二の足を踏んでいることが多いのだと言う。
「今度はタダ働きはダメよ。あんたどうせさくらから金なんかとれないんでしょ。」
その時、恵実はそう言って笑った。

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

再び桜花笑う季15

ホームページは1度作るだけでは終わらない。その時期に応じての商品展開、セールなどの告知と細かいメンテナンスがあってこそ活きてくる。つまり、作っただけではその効果は半減するのだ。

最初の佐藤夫妻はともかく、次に紹介を受けた年配の事業者にはその辺が心配になった。それで私は、自分も学びながら、そういう年配の人を対象にしたパソコン教室を開設した。教室といっても、自宅を開放してその依頼者を教えていたら、その依頼者の友人知人が教えを請うと言った形で人数が増えていっただけなのだが。

「先生、これどうするんでしたっけ。」
先生と呼ばれるのは気恥ずかしくてまだまだ慣れないが、電源の入れ方すら分らなかった人々が次々といろんなことをこなしていくようになるのを見るのは、赤子が成長していくのを見るようで楽しい。年を重ねて何度も同じことを説明せねばならぬことも多いが、それは御愛嬌。自分のできなかったことができた時の少年や少女に戻ったかのような笑顔は、労いの言葉のように私に降り注いだ。

だから私も、彼らの質問には必ずこたえられるように、いろんな情報を集めて回った。
そして、私はいつの間にか、かつて仕事をしていた時より忙しく日々を過ごすようになっていた。

それと同時に、私の心の中には翔子や穂波と共にもう一人の女性が住まうようになっていた。
彼女は、相変わらず亡くなった恋人の話を楽しそうにする。私はだんだんとそれを聞くのが苦痛になってきていた。

しかし…かつて妻も子供もいて今も障害の残る私には、一度も結婚したことのない彼女に自分だけを見てほしいとは言えなかったのだ。

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

友達-再び桜花笑う季16

友達


「松野さん、私お母さんに頼まれて、今高広のビデオをDVDに焼き直しているの。」
私がDVDレコーダーの購入を機に、放置していても劣化していくビデオからそれの少ないDVDに焼き直したと言う話をさくらは坪内家でしたらしい。本当に両親には荷の重いことだったのかもしれないが、小まめにビデオに残す事のできる人なのだから、たぶんそれは彼女の元にも彼の動画が残るようにとの配慮だったんだろうと思う。

私はこれまで何度か彼女に彼の写真を見せてもらってはいたが、動画では見たことがなかった。それでどれでも良いので、一本見せてくれるように頼んだ。彼女の言う「ハスキーで温かな声」とはどんな声なのか聞いてみたくなったのだ。
「ほとんどはバイオリンの発表会だから、声は入ってないのよ。」
そう言って彼女が持参したのが、彼が亡くなる前年の秋の家族旅行のものだった。テレビ画面の中では今でも、キャメルのジャケットに淡い色のボーダーニットにデニムの青年が生き生きと動きまわっていた。
「あ、あれは…!」
私は、その「キャメルのジャケットに淡い色のボーダーニットにデニム」という彼の装いとある光景が重なったとき、思わず大きな声を上げてしまっていた。
「こ、これは…本当に高広君なんだよね。」
「ええそうよ、それがどうしたの?」
そして半ば怯えながら聞く私に、さくらは不思議そうな顔で返した。

実は、さくらに初めて高広の写真を見せてもらった時、どこかで見た顔だとは思ったのだ。だが、どこで見たのかはとんと思いだせなかった。
あの、さくらが生死の境をさまよっていた時に病室から出てきた医師らしからぬ青年…あれが、坪内高広本人だというのか。
あの時、高広は彼女の病室を名残惜しそうにじっと眺めて私に深々とお辞儀をした。逼迫した場面だと言うのになぜか落ち着いた笑顔で…
さくらはその時のことを、『私ね、高広の病室まで飛んだの。一緒に逝きたいって言ったけど、高広は抱きしめたまま弾けるように消えたの。』と述懐している。彼女が彼の病室まで飛んだように、彼もまた彼女の病室まで飛んできて彼女を抱きしめて去ったのではないか。その際に、私に挨拶をした?!通常の理解の範疇を越えてはいるのだが、私にはそうとしか考えられなかった。

では、何のために彼は私に挨拶をしたのだろう。しかも笑顔で…
もしそれが彼女を私に頼むためだったとしたら、私は彼には一生勝つことなどできない、そう思った。

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

再び桜花笑う季17

もし自分が逝かねばならないとしたら、とてもあんな笑顔で他の男に愛する人を渡したりはできない。きっとさくらもそんな高広の事を一生忘れることはないだろう。そう思ってしまった私は、さくらと会うことすら辛いと思うようになっていった。

そんな頃、さくらは外来から元の病棟勤務へと舞い戻った。シフトでの勤務となった彼女に私は、
「大変だろうからもうここにはあまり来ない方がいい。」
と言った。彼女は、
「話をするだけだから、疲れたりはしないわ。」
と返したが、
「広告をうってもう少し生徒を増やそうと思ってるんだ。」
と、教室を理由にやんわりと彼女を避けた。彼女もそれ以上、何も言わなかった。

しばらくして、彼女からメールがあった。
-そがっちの知り合いが習いたいって言ってるらしいので、そがっちに電話番号を教えました-
と書かれてあった。

2~3日して、当の曽我部由美から電話がかかってきた。
「ああ、曽我部さん?生徒さんを紹介してくれるって聞いたんだけど。」
「ええ、まぁ…それで一度松野さんに会いたいんだけど、いつ空いてます?できれば他の方がいない方が良いんだけど。」
教室の紹介をその人にするのなら、他の生徒を教えている方が参考になるだろうに…おかしなことを言うなぁと思いつつも、私は手すきの時間を由美に指定した。

果たして、その指定した時間にやってきたのは由美一人だった。
「ごめんなさい。ホントはあなたと話がしたかっただけなんだけど、三輪にあなたの電話番号を聞こうと思うと、ああ言うしかなかったのよ。」
開口一番、由美はそう言って私に頭を下げた。そして由美は続けていった。
「正直に聞かせてちょうだい、あなた三輪の事どう思ってるの?」

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

再び桜花笑う季18

「どうって…その、ただの友達ですよ。」
「三輪の事どう思ってるの?」
いきなりストレートにさくらとの関係を問い質した由美に、私はそう答えた。
「呆れた!まだそんなちんたらしたこと言ってる訳?」
すると由美は私の答えにそう返した。
「ちんたらって何ですか。」
私はその言い草にムッとした。患者として病院ではお世話になった関係だが、確か年齢は私より2~3歳下だったと記憶している。それに今、私は彼女の病院の患者ではない。そんな由美がため口で何を意見しようというのだ。
「ちんたらはちんたらよ。あなたたち、出会ってもう5年も経ったんでしょ?」
そんな私の思いに気付かないで由美は続けた。
「時間がどれだけ経とうと、友達はそれ以上でもそれ以下でもない、違いますか?!少なくとも彼女はそう思ってると思いますよ。」
そうだ、私がいくら彼女の事を想ってもきっとその思いは届かない。それを一番じりじりと実感しているのはこの私自身だ。他人にそれをとやかく言われたくはない。
「でもそれ、三輪に確かめた?」
「いいえ、でも確かめなくたって分りますよ。彼女はあのあと職場に復帰したとき、『私は高広と結婚したつもりでいる』と言ったんです。私にだって、翔子や穂波がいる!それがどうして恋愛関係に発展するんです!!」
私はこの間から自身に言い続けている言葉をそのまま由美に投げかけた。しかし、由美は怯まなかった。
「高広君も奥様ももうとっくに亡くなっているんでしょ、ならいいじゃない。」
「翔子だって穂波だって、もちろん高広君だって私や彼女の心の中で生きているんだ!あなたに何が解かるって言う!そんな御託は聞きたくない、もう帰ってくれ!!」
私は座っていた前のテーブルをバシンと叩いてそう言い放った。そして由美は、
「何よ、この解からず屋の鈍感男!ええ、帰りますよ、言われなくたって帰ります!!」
という台詞を吐いて、さっさと私の家を後にした。
由美が帰った後、私はため息を吐き小声で言った。
「穂波、これで良いんだよな。パパがママ以外の女の人となんか結婚したら、穂波は嫌だよな。」と…

だが、その約一ヶ月後…突然由美から、着信があった。
「松野さん、大変なの!テレビ…そうテレビつけてみて!」
私が出た途端、由美は焦った口調でそう言った。そこで、私はテレビのリモコンのスイッチを押した。テレビからは列車の脱線事故の臨時ニュースが映し出されていた。
「その電車に三輪乗ってたのよ!今市民病院にいるって電話があって…」
さくらが事故に?!思いがけない由美からの連絡に、私は思わずそのまま外へとかけだしていた。

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

再び桜花笑う季19

事故と聞いただけで私は完全に舞い上がってしまっていた。一種のフラッシュバックとも言えるのかもしれない。私は由美に何の事情も聞かず慌てて携帯を切り、通院時代いつもお願いしていたタクシーを呼びだすと、自宅マンションを飛び出し、玄関先で待った。このときには私はもう車椅子ではなく、杖をつけば歩くこともできるようになっていて、障害者スペースに駐車する必要はなかったが、どう考えても冷静に運転できるとは思えなかったのだ。
やがてマンションの入り口に着いたタクシーに乗り込んだ私は、
「急いで市民病院に行ってください。」
と運転手に叫んだ。
「もしかして、さっきの脱線事故の?」
「ええ…市民病院に担ぎ込まれたと、彼女の友人から連絡があったんです。」
私は、自分でさくらを彼女と呼んで、いたことにも気付いていなかった。
「大したことがなければいいですね。」
私を落ち着かせるようにとの配慮か、運転手はわざとゆっくりとした口調でそう言った。
タクシーの中のラジオではその脱線事故の続報が流れていた。真昼間の事故だったために、乗客は少なく、重傷者はあるものの、奇跡的に死者はなかったが、一時的に乗客が閉じ込められた状態となり、その中で産気づいた女性が車内で出産したという。
「乗客にたまたま看護師の人がいてね、その人が取り上げたらしいですよ。何にしても、無事に生まれてきて良かった。」
そんな風に運転手は話しかけ続けていてくれたのだが、私にはそれに応える心の余裕などなかった。病院に運ばれた=重傷者の図式が私にはできあがっていて、心の中はそのことでいっぱいだったのだ。

やがて、車は市民病院に着いた。私は転がるようにタクシーを降りると、受付を目指して走り出した。とは言え、私の足は杖がないとおぼつかない状態、心ばかりが空回りし、転びそうに何度もなりながら、私は受付を目指した。
頼む、無事でいてくれ…私はもう、置いていかれるのは嫌だ。頼む、逝かないでくれ!そう何度も念じながら、私は息を切らせて受付に立った。
「はぁ…はぁ、すいません三輪さくら、三輪さくらさんという人がここに来ていると聞いたんですが!三輪さくら…」
ところが、大声でそう言った私のすぐ後ろの待合の椅子の方から、
「はい?」
という疑問形の返事が聞こえた。振り向くと、数人の人に囲まれた小柄で色白の女性-三輪さくらその人が-驚いた様子で立っていた。何のことはない、車内で出産した子供を取り上げた看護師というのが、さくら本人だったのである。その妊婦さんは脱線した両にはいなかったが、脱線の急ブレーキの衝撃で産気づいたのだと言う。同じ車両にいたさくらはもちろんどこにもけがはなかった。
「松野さん…」
「さくらちゃん!」
私は、さくらに駆け寄った。というより、彼女のそばにいこうとしたが、足がもつれて彼女に不様に倒れ込んだという方が正しいだろう。
「どうしたんですか?」
さくらは、彼女の肩を抱いたまま、震えている私を不思議そうに見上げた。

再び桜花笑う季20

「良かった、無事で…君が脱線事故に遭ったと聞いて、居ても立ってもいられなくなって飛んできた。」
私がそう言うと、彼女の横にいた人の一人が私に、
「ご主人ですか?」
と聞いた。さくらは不測の出産劇の立役者として、インタビューを受けていたのだった。
「いいえ、お友達です。この方は事故で奥様を亡くされているので、心配して駆けつけてくれたんです。」
それに対して、彼女はそう答えた。続いて彼女は
「もうこの辺でよろしいですか?」
と聞き、取材側が了承するのを確認して、私に肩を貸して彼らから離れた所の椅子に私を座らせた。
「それで、怪我は?」
そう言った私に、彼女は笑顔で頭を振った。
「怪我なんかしてないわ。私の乗ってたのは脱線した車両じゃないもの。」
「じゃぁ、何で君は病院に…」
「それは、車内の妊婦さんに付き添って…そう言えば松野さん、どうして私がここに居るのが分ったの?」
「妊婦さんの付き添い?!ああ、なんか電車の中で赤ちゃんが生まれたって聞いたけど、その看護師って、君?!俺は、曽我部さんに電話をもらって…」
私は、ようやく事情が解かって、ホッとして、一気に疲れを感じた。一方、私が由美から電話で事故を知らされたと聞くと、彼女は急にぷりぷりと怒りだし、すぐさま由美に電話を始めた。
「あ、そがっち?!ちょっといい加減にしなさいよ。松野さん今、血相変えて病院に来たじゃないのよ!!良かったって…良くないわよ!松野さん、私の顔を見て震えてたんだからね!!」
「良いよ、さくらちゃん。」
私は、彼女の携帯を持つ手にそっと触れ、私を見た彼女にゆっくりと頭を振ってみせた。
「良くないわよ。」
彼女はそれに対して一瞬びくっと身体を震わせた後、口をとがらせて返した。
「俺が悪いんだ。君が事故に遭ったと聞いた途端、俺、後のことを何も聞かないで、電話切ったんだから。」
「翔子さんや穂波ちゃんの事を思い出したら誰だってそうなると思うわ。ねぇ、そがっちあんたも看護師なんだから、その辺のことくらい解かるでしょ?!」
そうだ、由美はそれが解かっていて、わざと全部を私には告げなかったのだ。縦しんばさくらが事故車両にいて、何らかの怪我を負っていたとしても、ただの知人であればここまでのリアクションは起こさない。私にとって、さくらが翔子と同じ位置づけを持つ存在だからこそ、ここまで取り乱したのだ。私は彼女から携帯を取り上げると、
「曽我部さんありがとう、おかげで解かったよ。」
と由美に告げた。
「ようやく解かったの?どういたしまして。お礼なんて要らないわよ。」
由美はたぶんにやにや笑っているのだろうなぁと思われるような口調でそう返した。
「松野さん、そがっちにお礼なんて良いわよ!つけあがるから!!」
さくらは私の台詞の本当の意味は解からないだろうから、そう言って私からまた携帯を取り上げると、ひとしきり由美に文句を言い続けたのだった。

穂波、ゴメン…パパは、やっぱりこのお姉さんが好きなんだ-
さくらが由美にぶつける文句を聞きながら思っていたのは、そんな娘に対する詫びの言葉だった。

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

夢-再び桜花笑う季21




-その夜、私は夢を見た。
夢の中では何故か、穂波がさくらにあやされて笑っていた。

そして、それを見ていた私はいつしか涙を流していた。それに気付いた穂波は私に駆け寄り、
「パーパ、めぇよ、めぇよ。」
と言う。泣くなと言いたいのだろう。
「そうだね、泣いちゃダメだね。」
と返すと、穂波は
「いーこ、いーこ。」
と言いながら私の頭をなでた。それから、私の頬に自分の頬をぐりぐりと押しつけて笑った。かつての日、翔子が「しゅきしゅき(好き好き)」と言いながら穂波にやっていたことだ。穂波はそれを、次にさくらにも同じようにしたのだ。さくらはびっくりした後、笑みをこぼした。

その時、少し離れた所から声がした。
「穂波ちゃん。」
見ると、向こうの方で翔子が穂波を呼んでいた。穂波は弾かれるように母親を見た後、私に向き直り、
「バァバイ。」
と回らぬ舌で私に別れを告げると、引き留めようとする私の手をすり抜けて、翔子の許へ走り去った。
そして、もう一度屈託のない笑顔を私たちに向けると、
「バァバイ。」
と手を振った。
そこで、私は目覚めた。朝の光の中、穂波の別れの言葉が私の耳に確かに残っていた。

翔子、穂波…パパは、許してもらえたと思って良いのかな。

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

山笑う-再び桜花笑う季22

山笑う


私は、さくらに自分の気持ちを告げようと決めた。
そして私は、車でさくらの勤める病院に向かった。

病院の駐車場に車を置くと、私はまっすぐその前にある公園の池の端にある桜の木の前に向かった。この木は、この病院で生まれた三輪さくらがさくらという名前を付ける由来になった木で、坪内高広が自分の余命を知った時、彼女を託した木でもある。
見上げると、この町で一番最初に花を付けるその木には、まだ固いながら、小さな蕾がいくつもついていた。私は木に向かって言った。
「高広君、もし君があのとき彼女を頼むと言うつもりで頭を下げてくれたのなら、私に力を貸してくれないか。」
もちろん答えは聞こえてくるはずもない。しかし、ふわりと春を思わせる風が私の頬をなでた。
私は携帯を取り出して、さくらに電話した。
「さくらちゃん、今大丈夫?桜が咲いたらお花見に行こうと思うんだけど、いつが休みなのかな…」

-*-

そして、今日…私は満開の桜の中、彼女に自分の想いを告げた。
「君が高広君を忘れられないのは解かっているから。と言うよりも、高広君をずっと心の中に持っている君が好きだから…君が嫌じゃなかったら、これからの人生を私と一緒にすごしてくれないだろうか。」
「ねぇ、私なんかで良いの?私、翔子さんみたいに素晴らしい奥さんになんかなれないよ。」
すると彼女は、不安そうにそう答えた。
「出会った頃にいろいろ話したアレ、かなり美化しすぎてたかもな。翔子もホントはかなり天然だったよ。それに、穂波も君が好きみたいだ。」
「へっ?!」
私はこの間見た夢の話を彼女にした。彼女の眼に涙があふれた。そして…
「私も松野さんとずっと一緒にいたい。一緒に居させてください。」
と言ってくれた。

それから、彼女は満開の桜を見上げてぽつりと、
「高広が笑っている。」
と言った。一斉に花が咲きそろう様子を『山笑う』と表現した歌人もいる。そう言われれば、このピンクの花の波は、彼の穏やかな笑顔に似ている。

-サクラサク-
今、私の前でもう一つの桜の花が笑っていた。

                                    -The End-

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

傷は癒えるんです

「再び桜花笑う季(とき)」校了いたしました。
「遠い旋律」をお読みの方は、どうなるのかも全部解かった上でのベタな物語でしたが、いかがでしたでしょうか。大体、「遠い旋律」が「水戸〇門」というくらいベタな作品でしたけど。

今回FC2小説での自主企画「青木賞」に参加したこの作品のコンセプトは「せかいのはじまり」一から始めるためには今までの世界が全て崩壊したところから始まる。という訳で、白羽の矢が立ったのが、松野芳治だったという訳です。

実は、さくらの方も同じようにノエから松野さんプッシュ発言を受けてます。それで、さくらはノエとケンカしちゃったりして…「遠い旋律」のラスト数行で、さくらがノエに電話するシーン、『久しぶり…』って言ってますよね。あれ、そのことでケンカしてしばらく電話してなかったんですよねぇ。ノエは結婚して、息子の隆誠くんが生まれて…あいう性格ですから、芳治が自分の代わりにさくらを支えてほしいと思っていたようです。つくづくお節介な奴。

この後、芳治は翔子の実家を訪ねて、再婚するための許しを請います。高広の7回忌に坪内家に挨拶するくらいの生真面目男ですから、当然翔子の実家にも行っております。その時のエピソードも入れるかどうかもずいぶん迷いましたが、今回は、プロポーズシーンでエンドマークを付けさせてもらいました。ホントにいつもそうなんですけど、実際私が見えている映像の半分も書いてるかしら…だから、書きかえる度にトルコアイスのように伸びるんですよね。

今回、去年と同じ時期にこの作品を書き上げた事、何か不思議な気すらします。
あの時、私がこの部分を書かなかった(書けなかった)のは、私自身に高広の喪失感を癒す時間が欲しかったのかもしれません。

theme : つぶやき
genre : 小説・文学

引き、健在?!

「遠い旋律」でも執筆後「大当たり!」と叫ぶくらいぴったりのテーマソングが見つかった(柴田淳:君が思えば…)んですが、今回「再び桜花笑う季」でも途中でぴったりの曲を見つけました。

デジタルウォークマンのランダムプレイを使いこなしていなかったたすく、あるとき何気なくいままで押したことのないボタンを押したら、それがランダムプレイだとわかりました。その夕方のお勧めでかかった曲。ということは、自分が入れた曲なんですよね。でも、その数既に698曲。娘のお気に入りをなんとなぁ~く入れちゃったというのもあり、全部は把握してなかったりするんです。

曲は、「三枝夕夏INdb:ジューンブライド~あなたしか見えない~」名探偵コナンの2008年のエンディングテーマです。一番は芳治の気持ちを、2番はさくらの気持ちを表しているようで、それぞれの想いが一つとなって結ばれていく感じがして、テーマソングに採用です。

ちゃっかりワンシーンでてきましたし…あいつの引きまだ健在のようです。

theme : 物書きのひとりごと
genre : 小説・文学

両極は止めた方がいいわな

「なりきれないっ!」
今回、「HANABI」を書きながら何度そう叫んだことか…

この作品、最初はノベリストで、「再び桜花笑う季」と並行して書いてたでしょ。書きだしたからには毎日少しでも進めないと気が済まないたすく、根暗なくそまじめ男芳治になりきった頭では、すぐに圭治になりきれなかったんです。

それがために、脱線事故の部分とか、穂波のバイバイの後の件とか…かなり端折ってしまったような気が…
「桜花」の方はこれはこれで番外編化して、さくら側の気持ちも含めて新たに「遠い旋律2」として三人称で書くべきなのかもなと思います。

これから先、「桜花」は「ハムケ」後半部分の話とリンクします。助産師という特殊な職業の取材がカギなんですが、いかんせん子育てをほぼ終了しかかっているアラフィフたすくには、取材するルートがない。プロでもないたすくが産婦人科とか助産院に乗り込んでいくのもねぇ…ググリで乗り切るのは荷が重そうだから。

その辺のとこクリアできたら、続編ありかもです。期待しないでくださいませ。

theme : ヒトリゴト
genre : 小説・文学

桜の季節に…

テンプレートを桜に替えました。

桜は人を詩人にするのかもしれません。「桜花」を書き終わった後、有線でまた高広っぽい曲を見つけました。それが、「桜花」のラストシーンにドンピシャなので、ダウンロードしました。

それが、sun set swishの「さくらびと」。アニメ「BLEACH」の現在のエンディングテーマでもあります。それと、平井堅さんの「僕は君に恋をする」と柴田淳さんの「君が思えば…」とEXILEの「HOLY NIGHT」とをブックマークして、桜くずもちと温かいほうじ茶で只今一人高広祭り開催中。

ここで一つだけネタばらし…
実は、芳治の声…小西克幸さんなんです。「さくらびと」をかけながら、小西さんの声でラストシーンの台詞を頭で再構成して、私はすごーくだらしない顔をしておるのでした。

theme : 物語にちりばめた想い
genre : 小説・文学

プロフィール

こうやまたすく

Author:こうやまたすく
FC2ブログへようこそ!

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

FC2カウンター

カテゴリ

Web page translation

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。